ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ティン・パン系にとって重要な意味を持つ。ユーミン79年「OLIVE」

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*文中敬称略にて失礼します。

吉田美奈子を「MINAKO」で始めたと思ったら、
ユーミンは「OLIVE」から。オイ、何考えているんだよ!
という賢明なる諸氏からのボヤキが聞こえてきそうですが…。

ティン・パン・アレーのSIDEWAYS」ですから。タイトルが。
ティン・パン系という決して世の中的に大メジャーじゃない音楽の、
しかも「わき道」「横道」。ひょっとしたら「邪道」かも知れない
ちょっとひねくれた視点からメッセージをしたい(のかも知れません)。

というわけで、この1979年7月発売「OLIVE」、
ティン・パン・アレーの文脈で語るに当たり、
とても重要なアルバムです。

●コーラス・アレンジを山下達郎が担当した、現時点で最後のユーミンのアルバム。
吉田美奈子のコーラス参加もこのアルバムが現時点で最後。
これ以降は杉真理によるコーラス・アレンジが多くなり、
コーラスは須藤薫とか、リリカ・ウララ…とか、
もうちょっと経つと白鳥英美子とか…。

YMOを始めていた細野さんが2曲アレンジしている。
ジャケットには「冷たい雨」「甘い予感」のリズム・アレンジが細野さんと記されているけれど、
一曲目の「未来は霧の中に」のヴォコーダーの使い方とか考えても、この曲のアレンジは
正隆氏ではなく細野さんのだと思うのですが…。
あ、でも松武秀樹氏がプログラマーで参加されているので、
そういう意味ではYMOっぽい音になるのか…。

78年に松任谷姓となり初めてのアルバム「紅雀」を発売したが、
セールス面で芳しくなく、その年の秋には名盤の誉れ高い「流線形80」を
早くも発売。「埠頭を渡る風」等POPチューン満載だったが、
一気にブーム再来には至らず。

この「OLIVE」は、それから半年後に発売された、ユーミン本人曰く、
「やりたいことがわからなくて曲作るの苦労した」といわれるアルバムです。
とくに歌謡曲チックな「帰愁」などは、大嫌いな曲らしい。

が、しかし…。
珠玉の名曲があるんです。
ハローウィーン直前、晩秋から初秋に至るこの時期に必聴の楽曲が。

「りんごの匂いと風の国
レイ・ブラッドベリ10月はたそがれの国」の世界にも通じる、
切ない、というか、うまい、さすが、
ユーミンならではのセンティメンタリズム全開。

「いのこずち」なんて植物を、こんなに上手にポップスで歌えるのは、
たぶん世の中であなただけです。

あなたが少女期に出入りしていた立川基地とかの
米軍住宅のパイが焼ける匂いがします。

というわけで、「りんごの匂いと風の国」を聴きながら、今日は寝ます。
おやすみなさい。