ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

表参道の若葉のささやき。

tinpan19732006-04-22

ティン・パン・アレーを訪ねて〕第4回


水曜日、吉田美奈子×渡辺香津美のイベントに
遅れずに駆けつけるために、ある計画を立てた。
それは、原宿某所で開催されているある展示会に
出席しそのまま直帰するという計画。


見事に奏功し、17時すぎ、私は原宿駅近くの表参道を
青山通りと交差する地下鉄「表参道」駅に向かい歩き出した。
表参道ヒルズ」周辺に相変わらず人が溢れていると思い、
あえてヒルズとは反対の道を歩いた。


けやき並木の新緑は、「萌え出した」というよりまだ「芽生えた」に近い。
夕闇もまだ降りず、春と初夏のあいだの気持ちいい気候。


表参道は、やっぱりティン・パン・アレーだよな。
♪道の向こうで手を振った大きな声でさよなら言った〜
口をついて出てきたのは山田パンダ「風の街」。
1975年の春か夏に、TBSで「あこがれ共同体」という
桜田淳子山口百恵森昌子に、西条秀樹・郷ひろみ野口五郎
当時の三人娘と御三家が共演してしまうスゴいドラマがあった。
その番組主題歌が、この「風の街」だった。
けれど、ぜんぜんティン・パン系じゃない。


もうちょっと先を右に曲がると、
♪原宿ペニー・レインでバーボンを〜
だが、吉田拓郎氏のこの曲、バックは愛奴じゃないかな。
「結婚しようよ」のように松任谷正隆氏がキーボードだったり…、
しないよな。やっぱり。


「〜ヒルズ」というネーミングへの違和感を、
ピーター・ガブリエル「Solsbury Hill」に託して語ろうとも
思うのだが、これはまたいつの日か…。


というわけで、気持ちは、歩いている表参道を、
明治通りとの交差点付近に戻って、元・原宿セントラルアパートへ。
現在「GAP」になっています。


このセントラル・アパートは70年代後半、
アート・ディレクターの奥村氏や、コピー・ライターの糸井氏や、
カメラマンの鋤田氏など、優秀なクリエイターの方々が
軒並み事務所を構えられ、1Fの喫茶店では、
YMOの方々がインベーダー・ゲームに興じていらしたという伝説の地。


このセントラル・アパートの上の屋外看板に1977年のある日、
今日のこのビジュアルがで〜んと掲げられたらしい。
矢野顕子3rdアルバム『いろはにこんぺいとう』。
1st『ジャパニーズ・ガール』では「大いなる椎の木」1曲発表しただけだった
3年前のキャラメル・ママとのセッションを収めたアルバムだ。
ISSEY MIYAKEのジャンプ・スーツに身を包み、
魚を背負ったアッコちゃん。


音楽同様、ビジュアルもインパクト大だったろうな
と思いながら、私はけやき並木を駅に急いだ。