ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

除夜の鐘&初詣の人びとのソウル・ミュージック。

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新年早々、昨年の話で恐縮です。
2005年も押し迫った12月30日の朝4時か5時だった。
飲み食べ歌い何軒か廻り、最後西麻布の某バーに辿り着いた。
大音量で音楽が聴ける店なのだが、ピンク・フロイド『The Wall』が流れていた。

閉店近くの時間で、この店は明日から年末年始の休みに入る。
2005年のトリを飾る音楽が、ピンク・フロイドだったわけだ。
壮大でスケールある曲調が、仕事が終わり一年が終わるその時の気分に妙にマッチした。
私の中でこの店に対する評価がUPした。

年が押し迫ると、必ず聴くアルバムがある。細野晴臣氏『はらいそ』。
このアルバムのレコーディング中に
高橋、坂本両氏にYMO結成を持ちかけたといわれる、
細野さんトロピカル~エキゾティック路線三部作の完結篇といわれる1978年の作品だ。

2曲目「四面道歌」とか無性にこの時期聴きたくなる。
「四面道」は、荻窪付近に実在する交差点名らしいが、
キャッチーなメロディーと、春夏秋冬と東西南北を掛け合わせた詩がスバラシイと思う。
青春、朱夏、白秋、玄冬…。西洋の音階に乗せて、東洋の世界観が歌われる。

8曲目「ウォーリー・ビーンズ」は、
除夜の鐘の数と同じ、108の悩みの種を歌ったPOPな佳曲。

日本人にとっての“ゴスペル”って、そうだよな。仏教とかを題材にすべきなんだろうな。
メロディーはあくまでキャッチーに、POPに。
なんてことをつい考えてしまう。

あとは後年、森高千里さんがカヴァーした(細野さんプロデュース)「東京ラッシュ」とか、
教授もカヴァーした沖縄民謡「安里屋ユンタ」とか、エピソードはつきないのだが、
極めつけはラストの曲「はらいそ」の最後の部分。
この曲を年末に聴きたくなる最大の理由はこれなのかも知れない。

「来年はいい年になる」と聴いた人に思わず思わせてしまう、エンディングのフレーズ
“この次は、モア・ベターよ”。

この後、細野さんは、YMOを届けてくれたのだった。