ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

時は移ろう。切なく、悲しく、美しく。

tinpan19732007-07-09

金曜日のNHK地上波でのYMOの1時間番組、
土曜日のNHK-BSとスカパー!で生中継した
京都東寺でのYMO(というかAvex系アーティストの)ライヴ
に関しては、後日改めて。


今日は、土曜日の六本木STB139での
吉田美奈子&The Bandライブについて。


「Sunset」(1980年『MONOCHROME』収録)を演ってくれました。
美奈子さんライヴ観戦歴20年の私ですが、初めて生で聴けました。
夕方、家を出るとき、この曲を聴きながら、駅に向かいました。
素敵なシンクロニシティだと思いました。


イントロが始まった。「おや、何の曲だろう?」
倉田氏のピアノのフレーズで、「あれ、ひょっとして…!」
美奈子さんが歌い出す。♪街に〜 今ひとつの〜
パチ・パチ・パチ〜 思い切り手を叩いた。
夕暮れ、刻一刻と移ろう情景を、鮮やかに描いた快作。


「こんなにウケるとは思わなかった」とご本人も語っていらしたが、
美奈子さんが、あまりライヴで取り上げない、
レアな曲、過去の曲、珍しい曲を待ち望んでいるファンは、
きっとご本人が思っている以上に多いと思います。
このような曲を、毎回必ず一曲は取り上げてくれるよう
恒例化していただけるとうれしい。


そして、「時よ」も聴けた。久々に。
私は、この曲と、「Liberty」と「Christmas Tree」を聴くと、
条件反射として涙が流れてくることになっている。
これもご本人が語っていらしたけれど、セルフ・カヴァーなんですよね。
この曲は。結果的に。山下達郎氏『It’s a poppin’ time』ヴァージョンが
先に世の中に出た。


「時よ」のその後ということで「少しだけ…」も歌ってくれた。
「SCENARIO」(1995年『Extreme Beauty』収録)も、
こんど歌ってくれないかな。
“90年代の「時よ」”だと思ったから。当時。その状況設定が。


気になったこと。
「歌をリセットした(している)」。
これは詳しくは話してもらえなかったので情報を待つとして、
「5月末でAvexとの契約が終了した」
と話された。


理由も何もわからないけれど、
また、しばらく新譜を聴くチャンスが無くなるわけで、
単純にちょっと悲しかった。


いや、もう契約云々に左右されない時代が、
本当に到来しているのかも知れない。
“契約がなくても音楽はできる”1983年から美奈子さんは
そんなスタンスで活動をしていて、その過程の中で1986年に
“世界初の自主制作CD”として『BELLS』をリリースしたわけで、
そうだな。『BELLS』級のエポック・メイキングな作品を、
エポック・メイキングな配信方法で、再び世の中に問うてもらいたい。


『BELLS』と同じように、大竹伸朗氏のアートがジャケットになっていて、
購入するとそれが何か画期的な方法でダウンロードできるとか…。


時は移ろっていく。
いつまでも自分にとって都合のいいままで
止まっていてはくれない。でも、不都合なだけでなく、
好ましい変化もあるわけで…。
YMOで、美奈子さんで、そんなことを感じた週末だった。