ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

歯の磨き方。音の作り方。

tinpan19732007-12-27

新年を前に、口の中も大掃除
ということで今、歯科通いをしている。


半年に一度を目標に歯垢除去に通うことにしているのだが、
時間に追われ気がつくと一年経っていることも多い。
今回は無事半年ぶりだった。歯科を皆が上手いというところへ替えてみた。


たしかに上手かった。先生が歯周病のエキスパートでいらっしゃるそうで、
いや、その、細やかさといったら…。
歯の磨き方も、教えていただいた。
はい。ええ。理屈ではわかっているんですけれど…。


いい加減、これぞ究極の歯ブラシは誕生しないのだろうか?
選択肢は増え、新製品も続々と登場するけれど、
どれも、いつの時代も、帯に短しタスキに長しだと思う。
それから、磨き方。
年とともに時代とともに変わっている。
それまでの主流が、ある時から簡単に否定されてしまう。
清朝以降の中国の現代史みたいだ。


70年代始め、「ホワイト&ホワイト・ライオン」が登場したころから、
歯はタテに磨くのが主流になったと思う。
たしか、この商品のCMでジェリー藤尾一家の皆が手をタテに動かして
磨いていたはず。小学生だったボクも、タテ磨きに替えた。


タテに磨いた。力強く磨いた。そんな時代が20年ほど続いたと思う。
90年代に入り、久々に虫歯ができ歯科に通ったところ、
「磨き方が悪い」と言われた。力が入り過ぎ、歯ぐきが所々陥没している
と指摘された。
手に力を入れず、小刻みにブラシをヨコに動かすのが正しい磨き方だと
教えてくれた。それ以降、「力を入れない」ことは忠実に守った。


次に歯科に通ったのは、90年代の半ばくらいか。
歯と歯ぐきの境目の部分が、あまり良く磨けていないと指摘された。
そりゃ。そうだ。だって、歯ぐきを傷つけないように、
あまり触れないようにしていたのだから…。


年齢も30歳を過ぎ、タバコは1日1箱(3年前に禁煙した)、コーヒーは大好き。
週に何度かは酔っ払ってそのまま寝るというような生活を繰り広げていたため、
ボクの口の中は、心と同様傷つき薄汚れていった。
歯の裏のヤニも気になるようになったため、半年に一度の歯垢除去が習慣になった。


歯の磨き方については、
電気歯ブラシを使った時期もあった。
歯ブラシのブランドや機能にこだわった時期もあった。
ただ、まだ、あまり、しっくりこない。きちんと磨けている気がしない。


楽家にとっての「音の作り方」はどうなのだろう?
はつぴぃえんど(はっぴいえんど)のレコーディングは、
一枚目が4チャンネル、
二枚目が8チャンネル、
三枚目が16チャンネルと、
アルバムごとに機材のテクノロジーが進化したと何かで読んだ記憶がある。
(4、8、16の数字は裏取りしていません。誤っているかも知れません)


テクノロジーの進化に、アーティストはとまどわなかったのかな?
信頼できるエンジニアがいれば問題なく、
ますます自分の求める音に近づくというカンジだったのかな?


山下達郎氏は、80年代半ばのデジタル・レコーディング導入に
とくに苦労した、抵抗を覚えたと語っていらした。
自分の求める音がデジタルでは実現できず、
『POCKET MUSIC』の曲調が偏ったのはその影響もあると
やはり何かで読んだ覚えがある。


楽家が素晴らしい作品を作るのは、
作詞や作曲する能力もさることながら、それを実際に音にしていく作業、
最新のマシンやテクノロジーと格闘する能力も含まれているのだ
と、思った。
ZZZZZZZZZZ〜 ZZZZZZZZ〜
私は横たわっている。口を開け、目を閉じている。
あの何とも言えない歯垢除去マシンの音が、まだ耳に聞こえ続けている。