ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

けやき坂が輝き出した。あの歌が聴こえてきた。

tinpan19732007-11-26

先々週だと思う。
六本木ヒルズ付近をタクシーを通りがかったところ、
けやき坂がイルミネーションで彩られていた。

週に一度ぐらいはこの界隈をタクシーで走っているが、
この一週前には電飾はなかったはず。
東京国際映画祭か? TOKYO DESIGNER’S WEEKか?
この時期の六本木ヒルズ関連のイベントを思い浮かべてみたが、
こんなライト・アップをしただろうか?


「いよいよクリスマスですね」。
タクシーの運転手さんの言葉に驚く。
「エッ? まだ、11月の…。
 そうか! もう10日すぎか。
 クリスマスのライト・アップが始まっても
 ゼンゼンおかしくない時期ですね」


何日か前に記したが、この頃が、もっとも季節に遅れていた気がする。
先週、紅葉の道を歩いて(やはりここに記しました)、
そして11月としてはケタ違いの寒波がやってきて、
ようやくそういった季節感のズレは修正されたと思う。


♪夜を飾る星の数ほどはないけれど〜
けやき坂のイルミネーションを観て、
今年はこの歌が口をついて出てきた。
吉田美奈子「12月のイルミネーション」、1996年発表のアルバム『KEY』の
最後を飾る8分の6拍子のバラードだ。
(こうしたシチュエーションでは「頬に夜の灯」を口ずさむことが
 多いのだが。1982年『LIGHT’N UP』収録)


♪時間が移り変わる瞬間の狭間でも〜
曲が始まってすぐのこのフレーズに、当時ヤラレタと思った。
「時間」「瞬間」「狭間」…。短いフレーズの中に時間を表現する言葉を
こんな巧みに散りばめるとは、さすが!“時を描く天才”吉田美奈子さん。


しかし、この曲自体には、発売当時それほど思い入れがなかった。
美奈子さんのクリマス・ソングとしては別格ともいうべく
「Christmas Tree」(1986年『BELLS』収録)
が、もう私の中に圧倒的に存在していて、そんじょそこらのクリスマス・ソング
ではこの曲に太刀打ちできなかった。


♪傍らにいるから すぐ傍にいるから〜
あなたを愛する人はいつも近くにいると歌うこの曲の2コーラス目の
あるフレーズに、1998年か99年かな。勇気づけられたことがあった。
それ以来自分の中で、この曲の価値が高まった。


あなたを愛する人はいつもすぐ近くにいる。
あなたが気づいていないだけかも知れない。
それは物理的に“傍”なのかも知れないし、
距離や時間を超えて“傍”なのかも知れない。
あるいは、天空から優しく見守っているのかも。


「12月のイルミネーション」、12月のライヴで、久々に聴いてみたいな。
「Christmas Tree」とセットで聴けたら、尚うれしいな。Too muchかな。