ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

テレビには線を引いていた。

tinpan19732007-11-25

テレビドラマ「点と線」観る。
いつ以来だろう。テレビドラマを観て、
こんな幸せな気持ちになったのは。


ある俳優さんのスタイリストとして、
知人がこのドラマに参画していることもあり
観始めたら止まらない。


俳優さんが皆上手い。豪華キャストのひと言で片付けるのは
簡単だけれど、ミス・キャストの例もたくさん見てきたわけで、
このドラマは、それぞれの俳優が、いちいち味のある演技をする。


昭和30年代を再現したセットもいい。
CGが正しく使われている気がした。
最近の映画(とくに大作といわれる)とかだと、
ただのCGの技術の押し売りになっていて、
そこに必然を感じられないケースがほとんどだけれど、このドラマは違った。
映像化不可能と言われた作品を可能にした理由のひとつであるだろう。


何年か前、同じ松本清張作品の「砂の器」を
連続ドラマで、日曜日TBSが放送したけれど、
時代設定を現代に変えてしまって、ゼッタイに失敗だったと思う。
あの時代のあの病気への偏見が物語の重要なファクターになっているので、
差別等の問題でそれが描けないのなら、わざわざドラマ化する
必要がなかったのではないか。
ミス・マッチの主演俳優の眉間のシワと、
どうしても好きになれない主題歌の印象しかもう残っていない。


横浜の本牧にセットをつくり、あの時代の福岡・香椎の町並みを再現し、
大阪のJR車両基地内に、あの時代の東京駅を再現し
汽車のシーンは、たしか静岡・大井川鉄道…。
昨今の“昭和30年代ブーム”便乗作品にありがちな
ノスタルジーを誇張した美しすぎるフィクションではない、
リアルな昭和30年代がそこにあったと思う。



イイ音楽、イイ映画、イイ小説に接すると、
気分が良くなる。気持ちが浄化される。
感情が程良い運動をして、心がフィットネスをしたカンジ。
感動=感情の運動なんだろう。きっと。


それが、テレビで味わえたら、手軽で気軽でうれしいけれど、
なかなかそれは難しく、おカネと時間をかけて、
コンサートへ、映画館へ、本屋さんへ行かないと、
心のフィットネスは行えない。


さてさて、感情が適度な運動をして幸福な時間を過ごした後は、
あの人にメールを打って、クール・ダウンしよう。
「おもしろい! サイコーです。
 俳優さんが皆上手すぎる。
 セットも衣装もサスガでした。
 明日も楽しみです」