ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ドイツと『BRUTUS』とトノバン。

tinpan19732006-02-28

トリノ五輪が終わり、今テレビでサッカー「日本×ボスニア・ヘルツェゴビナ」を観ている。
舞台はドイツ・ドルトムント。イタリアの旧都トリノといい、どうも海外(とくに欧州)でスポーツが行われると、その土地の歴史や雰囲気にまず浸りたくなる。そしてそのイメージに即したアーティチュードで試合観戦したくなる。
トリノのことを調べてみると、「バローロ」「バルバレスコ」のワインで有名なピエモンテ州にある。そこで、五輪期間中この地の名物ワインと料理を食す会を催した。正確に言うと、懇意にさせていただいているお店に催してもらった。
このような観戦術、雑誌『BRUTUS』に教えてもらったのだと思う。
例えば、86年メキシコW杯の前だと…(サッカーは日本ではまだマイナー・スポーツだった)。サッカーW杯は、南米や欧州では国家と国家の戦争のようなものだ。こんどメキシコでW杯がある。美味いテキーラでも飲みながら、テレビ観戦しよう。こんなカンジ…。
F1も、ヨットのアメリカズ・カップも…、『BRUTUS』に教えてもらった気がする。
1980年から85年くらいまでの『POPEYE』『BRUTUS』は、ボクの先生だった。17歳から22歳くらい、「着る」「聴く」「読む」「観る」「食べる」…、いろんなことを教えてもらった。
今でも覚えているのが、創刊直後の『BRUTUS』で、加藤和彦氏が何の変哲もない黒のとっくりセーター(70年代っぽい言い方だが、「タートル」という言葉が市民権を得たのは、スティング85年『ブルー・タートルの夢』のころだと思う)を着ていて、「これ、イタリアのアルマーニというデザイナーのものなんだ…」というようなことを語られていた。
アルマーニが、メジャーになったのはその2〜3年後。いやはや、加藤氏の選択眼の鋭さよ。この頃加藤氏は本業の音楽でも、ヨーロッパ三部作と呼ばれるとびきりお洒落なアルバム『パパ、ヘミングウェイ』(79年)『うたかたのオペラ』(80年)『ベル・エキセントリック』(81年)を、細野さんやユキヒロさんや教授やアッコちゃんたちと海外録音を行いつくり上げていた。
『うたかたのオペラ』など、まだ東西に分かれていた時代のドイツのベルリンで録音してしまうのだから恐れ入る。空港から外に出たとき、並んでいたクルマの、その並び方がカッコ良くて、細野さんが「あ、構成主義」と言った云々のことがライナーノーツに書かれていた。らしいエピソードだと思う。
これらのアルバムが似合う大人になりたかった。でも40歳過ぎてもそんな大人にはなれなかった。仕方がないので老け込む前に聴いておこうと、昨年末アルバムを買い揃えた。という話は、以前書いた気がする。
トリノ五輪だからバローロを飲もう」。そのくらいのスノッビズムは持ちつづけたいものだ。ヨ〜シ! 6月のドイツW杯は、リースリング種の白ワインの美味いのを飲むぞ。