ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

感動と感傷のクロスオーバー。

tinpan19732008-01-27

前日記した清水靖晃氏の音源は、
FM番組「クロスオーバー・イレブン」収録音源でなく、
クロスオーバー・イレブン〜アカサカ・ムーン』という
番組を聞いているようにアルバムが展開する
コンピレーション・アルバムに収録された音源だった。


クロスオーバー・イレブン』を冠した企画盤は
レコード会社(そろそろ本当に音楽ソフト会社と表記したほうがいいかも)
を異にして4枚出ているらしく、そのコロンビア盤を1枚そのまま、
知人がMP3音源で提供してくれたわけだ。


あの雪の朝、iPodで聴いていく曲を選ぶためアーティスト別に
スクロールしていたら「Yasuaki Shimizu」という表記で目が止まり、
「あれ? 『ADUNA』とかリッピングしてないはずだけど…」
と思い、クリックしてみたら「CROSSOVER ELEVEN」と
英文表記されていたため、「わっ、ラジオのスタジオ・ライヴ音源を
貸してくれたんだ!」と先走ってしまったのだ。


雪の次の朝は、このアルバムを最初から聴きながら、会社に向かった。
イイ!
この作品、選曲とかの問題で人によって評価は真っ二つだろうし、
事実amazonのレビューではそんな書き込みが多いのだが、
私の心にはグサッと刺さった。


津嘉山正種さんの語りが入ってる!
オイオイ、この声はビル・ラバウンティじゃないか!
この味のある声、この人のあの曲…。
♪I know this night won’t last forever〜
という曲、好きだったなぁ。私にとっての80年代始めのAORの代表作だ!


渡辺香津美UNICORN」も入っている!
この曲、21世紀になってすぐCDで買い直した。
80年ごろ日立ローディーのCMソングだった。
24丁目バンドも入っている。
渡辺香津美坂本龍一のコラボレーションKILYNの
「アカサカ・ムーン」まで…。そして、次の曲は…。
坂本龍一グラスホッパーズ」だ! 
1枚目『千のナイフ』の曲だよな。たしか。


曲が変わるたび「!」「!」「!」が押し寄せて来た。
通勤電車に揺られながら、私の顔は
不思議な笑みを浮かべていたに違いない。
と同時に、しみじみもした。


このラジオ番組は1978年から2001年まで続いたらしい。
私が聞いたのは、1980年前後のほんの数年。それも数えるほど。
このアルバムを聴きながら、思い出したのは、
1983年大学一年のある夜のこと。
平日の夜、ひとり暮らしの部屋で、この番組を聞いた。
決して好きな行為じゃなかった。


遊びたい盛りで、夜を徹して、
飲んだり、語ったり、マージャンしたり、ドライブしたり…。
そんなことをするのが何より好きだった。
部屋でひとりラジオを聴いてというのは、受験生のようで
人生の後退のような気がした。


津嘉山正種さんのナレーションを聞いていると
なぜか無性に寂しくなって、誰かに電話をしたくなった。
RRR RRR RRR RRR …。
呼び出し音が虚しく鳴り続けるだけ…。
携帯電話はもちろん、留守番電話もまだなかった時代。


あの頃、ひとりになるのがとにかくイヤだった。
いつからだろう? ひとりでいるのがスキになったのは…。