ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

「Grey Skies」に癒される理由。

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三日間更新できなかった。正月気分が去り、公私ともに忙しさが押し寄せてきたようだ。
ここ数ヶ月どちらかというとゆっくりした日々を過ごしてきたので、
この時間の密度に押し潰されないかちょっと不安だったりする。

精神も苛立っていたりするので、この気持ちを鎮めるに何を聴こうか?
帰りの電車の中で考えてきた。こんな時は、インストルメンタルを聴くことが多いのだけれど、
Weblogの主旨を踏まえ選んだのは、大貫妙子さん1976年デビューアルバム『Grey Skies』。

今、改めて聴きながら書いているのですが、
近作2作『One Fine Day』『NOTES』のテイストと、
このデビュー・アルバムのそれはかなり近いと思います。
30年後の原点回帰? イヤ“処女作にすべてがある”んだと思います。
小説も、絵画も、音楽も…。優秀なクリエイターの作品表現は…。

「時の始まり」「約束」「愛は幻」といったシュガー・ベイブ時代の作品は、
山下達郎氏アレンジでメンバーもほぼ後期シュガー・ベイブ(K:坂本龍一氏)ですね。

このアルバムと、今年リ・イッシューされるらしい『ナイアガラ・トライアングルVol.1』の
「ドリーミング・デイ」「パレード」を聴き合わせるに、
もし1976年にシュガー・ベイブの2ndアルバムが出ていたら、
坂本氏がキーボーディストとして大活躍されていたことでしょう。

細野さんがアレンジにクレジットされている「One’s Love」「街」は、
バックはティン・パン(Bは田中章弘氏、Kは佐藤博氏)。
矢野誠氏アレンジ「When I met the grey sky」には、後のヨーロッパ路線の萌芽が…。
ラストの坂本龍一氏アレンジのインスト・ナンバー「Breakin’ Blue」も、かなりイイ。
ハモンドやアープ・オデッセイを駆使した坂本フュージョンの傑作だと思います。

今夜改めて聴いてみて、いいアルバムだと思いました。
今までも何十回と聴いたアルバムですが、初めて聴いたときと同じくらい
今日は感動しています(ちょっとフシギです)。

大貫さんの声に、いつも変わらず私の心を癒すパワーがあるのと、
あとやはりこのサウンド、シンセに頼らない楽器構成やアレンジが、
森俊之さんたちが近作2作で描いているのと同じような音像感で)、
今の時代気分にやはり合っているのでしょう。