ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

女たちの戦場のメリー・クリスマス。

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先週の日曜日にTVでチラリと見て以来、にわかに女子フィギュア・スケートの、
いや、安藤美姫選手のファンになりつつある。

今日は初めて、フジテレビの中継を最初から見た。
素人目には、何で6番手なのかわからない完璧なパフォーマンスに見えたのですが…。
ひと頃の山口百恵さんに通じるちょっと憂いある表情がたまらない。
悲劇が似合う儚さというべきものを感じるのがちょっと不吉なのですが、
明日の夜は安藤選手の最高の笑顔が見れるようTVの前で応援します。

なぜ、これほど、急激に安藤選手ファンになってしまったか…、
やっぱり「戦メリ」を楽曲に使用していることも大きい。
クラシック音楽を使っても世界を考えた場合歴史が異なる欧米選手には絶対に劣ってしまうと思うし、
今日の村主選手のような曲だと逆に狙いすぎでトゥー・マッチ&ミス・マッチを感じてしまう。

「戦場のメリー・クリスマス」、安藤選手が生まれる4年前(ちょっとビックリ)
1983年に発表された同名映画の主題歌であり、坂本龍一氏の代表作。
大島渚監督、デヴィット・ボウイ、北野武氏らとともに教授が出演し、
音楽は「ぜひ」と教授サイドから働きかけたと云われる。
この戦略は奏功し、後の「ラスト・エンペラー」→オスカー受賞へとつながっていく。

教授は、私が思うに、80年代を代表する“POPスター”。
この“POPスター”とは、通常の音楽分野で使われる“ポップ・スター”とは意味が異なり、
「POPカルチャーの複数の分野で著しい活躍をし、世界的に評価された人」に
私が贈る称号。10年のディケードごとに選ばれ、過去の受賞者は次の通り。
●50年代…イサム・ノグチ
●60年代…三島由紀夫
●70年代…横尾忠則氏、村上龍
●80年代…坂本龍一
●90年代…誰だろう?(北野武氏かな? 皆さま、よろしければご意見を)

安藤選手、あなたはたぶん知らないだろうし、
メディアだってこの楽曲の素晴らしさ・重さを正当に評価しないと思うけれど、
80年代のカルチャーを代表する物凄い楽曲に乗って、あなたは滑り、跳び、踊り、舞っているんです。

フィギュア・スケートの分野でも支配的に違いない欧米の価値観に対する
愛情や尊敬や感謝から、皮肉や軽蔑や抵抗まで含んだ、鮮烈なジャポニズムに乗って…。

最後に、この映画の、エンディングの、たけしさんのように、
(オヤジっぽく、しかし味わい深~い調子で)
あなたに語りかけて終わりにします。
「メリー・クリスマス! ミキティ!」

それから、みなさんへも、メリー・クリスマス!