ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

上手にウソをつくと、省エネになる。

tinpan19732006-08-08

人びとの想像力を、
どれだけ受け止めることができるか
が、名曲の条件である。


先日「夏なんです」について記した際、
皆さんからいただいたコメントを拝読して
そう思った。


原風景云々の話をしたけれど実はナンセンスで、
リアリティのさじ加減というか、
どれだけ上手にウソをつくかが、
その物語が面白いか否かのKEYなんじゃないだろうか。


上手にウソをつかれると、暑いのも楽しくなる。


1ヶ月くらい前に昼間再放送していた
日本テレビのドラマ「すいか」
元は2003年に放送されたのだが、
数回しか観られなかったため、
今回すべてハードディスクに録画した。


三軒茶屋の、今どき珍しい賄付下宿を舞台にした
小林聡美ともさかりえ浅丘ルリ子等出演のドラマ。
三茶の商店街を抜け、世田谷線近くに本当に実在しそうなロケーション
なんだけれど、ありません。ありえません。あの敷地は。
あの門から玄関までの距離は。あのビールやすいかを冷やせる川は。


と思ってしまう人は、サビシくてツマラナイ人間です。
私などあのドラマの影響で夏、エアコンを使わなくなりました。
扇風機や蚊取線香が大好きになりました。


あとは、細野晴臣さんの名作「熱帯夜」。
1975年『トロピカル・ダンディ』収録。
梅雨が明けて寝苦しい夜の日々が始まると、この曲の世界に浸れるので、
私は毎年心待ちにしています。


♪上海じゃ魚が煮えたぎり
 ミネソタじゃ卵がゆであがり…
この曲、細野さんが狭山のベースから練馬に移り住まれ、
クーラーのない部屋で作られたそうです。


そのエピソードが何か微笑ましくて、
(細野さんらしい自己矮小化かも知れませんが)
好きなんです。寝苦しい夜の安眠剤になるんです。


「すいか」に「熱帯夜」、いずれにせよ
コイズミさんのクール・ビズよりは、
省エネ効果がありそうだ。