ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

「風をあつめて」が似合う街・映画・気候。

tinpan19732006-06-02

昨日の流れで、「風をあつめて」→渋谷→
と連想すれば、映画『ロスト・イン・トランスレーション
である。


2年前のちょうど今ぐらいの時期に、
渋谷シネマライズで観た。


コッポラの娘ソフィア・コッポラ監督作品、
タイトルからわかる通り、翻訳において失われるもの、
異国間の文化GAPのようなものがテーマである。


主演ビル・マーレイがいい味を出している。
新作「ブロークン・フラワーズ」(ジム・ジャームッシュ監督)も
ちょうど今シネマライズで公開中のはず。


この手の映画は渋谷で、昔の西武の息がかかった劇場で
観るに限ると、80年代に学生時代を過ごした私は思う。
ちょっと前なら『トレイン・スポッティング』、最近だと『RAY』、
あえてシネマライズを選んで観に行ったものだ。


ビル・マーレイスカーレット・ヨハンソンたちが、
TOKYOのカラオケ・ボックスに繰り出して、
ボックスの外でビル・マーレーが一人佇むシーン。
誰かがカラオケで歌う「風をあつめて」が聞こえる。
このシーンが良かった。なぜ「風をあつめて」なのかはわからないけれど
(どんな働きかけがあったのだろう?)、この「風をあつめて」が良かった。
エンド・ロールでは、はつぴぃえんど(はっぴいえんど)のヴァージョンが
細野さんの歌声が流れた。


松本隆氏がこの楽曲でTOKYOを見つめた視点と、
コッポラ女史がこの映画でTOKYOを見つめた視点。
これが似ていると思った。描かれた空気感に近いものを感じた。


「風をあつめて」、5月から6月の初夏の曇った日、
アメリカとニッポンのGAP(ブランドじゃなくて隔たり)、
それから渋谷の街に似合う楽曲だと思う。