僕も、風をあつめたかった。
〔ティン・パン・アレーを訪ねて〕第6回
渋谷には音楽があふれている。
渋谷駅北口を出て、
道玄坂を上るとはつぴぃえんどが、
宮益坂を上ると大貫妙子さんが、
という話を書いた。
今日は、渋谷駅南口を出て、
玉川通りの歩道橋を渡ってすぐ南平台界隈の話をしたい。
「風をあつめて」の♪人気のない朝の珈琲屋で〜
のモデルになったといわれる喫茶店「マックス・ロード」がある。
いや、あった。3年前ぐらいに
チェーン店「エクセルシオール・カフェ」に変わってしまった。
オフィスが渋谷にあったとき、“勝負コピー”を書くとき、
何度かこの店に通った。松本隆氏の恩恵に預かりたくて。
でも、あまり効果はなかった。私と松本隆氏とは違いすぎるし、
そもそもコピーと詩は違う。
2年前の夏、すでに「エクセルシオール・カフェ」になっていたが、
この店で本当にイヤな仕事の打合せをした覚えがある。
近くの仕事先に提案に行った。提案が全く方向違いだった。
超大物クリエイターを起用。責任はぜんぶ私という流れだった。
「なにも、この店で…」と思ったけれど、
そこで善後策を協議するしかなかった。
この界隈は、東京キッド・ブラザーズの芝居小屋が
あったところでもあったらしい。
1969年、吉田美奈子さんが故・ペーター佐藤氏と、
シンガーとして初めて人前で歌ったと云われる場所。