ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

「REVELATION」で露わになったもの。

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数日前から急に寒くなった。
立冬も過ぎ、そろそろ季節は初冬というべきなのだろうが、
「晩秋」をテーマに紹介したいアルバムが2枚あるので、今日はそのうちの1枚を。
『REVELATION』、2003年に発売された、
吉田美奈子さんの現時点でオリジナル・アルバムとしては最新作だ。

00年代版『FLAPPER』とでも呼ぶべき、
玉置浩二さん、塩谷哲さん、倉田信雄さん、TANATONOTEさん、西脇辰弥さんらが
提供した曲に、美奈子さんが詩をつけ歌う。
西脇氏はCo-Producerとしてもクレジットされ、アレンジャーとしても活躍。

しかし…、イマイチだった。アルバム自体は。
発売直後のスウィート・ベイジルでのLiveでも、このアルバムからの曲よりも
それ以前の曲のほうが楽しめた。
「愛があたためる」をここ2年、いろんなLiveで聴く機会があるけれど、
自分の中でこの曲を「Liberty」や「音楽の言葉」や「時よ」と同じには、
どうしてもポジショニングできないし、
「音楽の魔法」みたいな曲調は久々でうれしかったが、やはり「TOWN」にはなれない。

昨日の達郎さんに関しても同様なのだが、
どうもティン・パン系のアーティストの近作についてネガティブになってしまう
自分が、自分でイヤになってしまう。
音楽=音を楽しむ能力が、アルコールを分解する能力のように
年齢とともに衰えている気がして…。

ただ、私にとってそんな解釈しかできないアルバムでも、
冬近いこの時期に、それからあの国に関する報道を見聞きする度に、
どうしても聴きたくなる一曲がある。

「Sigh of Distance」、
この曲が拉致家族のことを歌ったものだと知ったのは、いつぞやのLiveだっただろうか。
届かぬ想い。埋めることのできぬ距離。
晩秋の先にあるのは、厳しい冬。
絶望の向こうに、希望は見えるのか…。

他にも「STRAP」は赤坂のマンションに監禁された少女たちから生まれた曲らしいし、
『REVELATION』(=「暴露」「発覚」「啓示」「黙示」の意)で露わになったのは、
美奈子さんの社会性・市民意識ヒューマニズムのようなものなのかも知れない。

思いはパワーになる。たとえ直接的に表現しなくても。
多くの人が思えば、きっとプラスに作用する。たとえ白いバンドを腕に巻かなくても。