ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

そして、「Cliché」に結実。大貫妙子ブランドの確立へ。

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「Romantique」で発芽し、「Aventure」で枝葉をつけたヨーロッパ路線が、
豊かな実をつけたのが、この「Cliché」(1982)だと思う。

「Cliché」とは、「陳腐でありふれた常套句」という意味らしい。
それを「ありふれた日常のなかにある宝物」と逆説的に解釈してタイトルとしたそうだ。

最初の4曲は、坂本龍一氏アレンジ。
残りの6曲はジャン・ミュジー編曲によるフランス録音。
「光のカーニバル」などは、「こんな古き良きフランス風な曲を日本人が作ったなんて」と
現地ミュージシャンに絶賛されたらしい。

「黒のクレール」「色彩都市」「ピーターラビットとわたし」「風の道」あたりが、
このアルバムの代表曲といえるだろうか。

「黒のクレール」はマクセル・カセットテープのCM曲。
“黒の三部作”というコピーで、大貫妙子さん・吉田美奈子さん・ラジさんが、
黒をテーマにした曲を歌い、御三方それぞれがCMにも出演した。
ちなみに、この“黒の三部作”は、山下達郎氏がやはり出演しテーマソングを歌った
Ride on Time”の後を受けたCMである。

色彩都市」は、本人も坂本氏も大好きな「20年に一度できるかできないか」の
楽曲らしい。何ものにも似ていないオリジナリティあふれるPOPチューン。
元は「遊びながらキレイになる」をテーマに、ラジオCM用に作られた曲らしい。
(どなたか、このCMのクライアント・商品名をご存知の方、ぜひ教えてください!)

ピーターラビットとわたし」は、その後タンタンやドリトルといった
キャラクターをテーマにした楽曲がいくつかつくられるが、その先駆けとなった曲。
当時はノン・タイアップで、その後8~10年くらいして、
ピーターラビットが出てくるキューピー・マヨネーズのCMに使用されたと思う。

「風の道」は、「突然の贈りもの」「新しいシャツ」に連なる
コンサートでもよく演奏されるバラード。

CMなどのタイアップもつきはじめ、翌1983年ドラマ主題歌となった
「夏に恋する女たち」がベストテン・ヒットを飛ばす直前。
大貫さんのヨーロッパ路線のひとつの到達点といえる作品である。