ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

「Romantique」で発芽したオリジナリティに枝葉が伸びた「Aventure」。

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ヨーロッパの陰影を描いたのが前作なら、
風光や太陽の輝きを感じるのが今作「Aventure」(1981年)。

最古の女性誌「ハーパス・ビザール」、伝説のサントリン島、ローマのテルミネ駅、
F1フェラーリ・チーム、N.Y.のブリーカー・ストリート等、
詩に固有名詞が増え具体的になったが、
「ヨーロッパ」という前作で開拓したテーマの一層の広がりを感じる。

山下達郎氏コーラス・アレンジによる
大貫妙子竹内まりやepoの当時RCA所属女性アーティストによるコーラスも見事な
POPチューン「恋人達の明日」でアルバムは幕を開ける。
この曲は、当時流行していた英国女性グループ・ノーランズを、
6曲目のこれもPOPな「チャンス」は、シーナ・イーストン
意識して書かれた曲らしい。

メジュー・コードを使用した楽曲が増えたことからも、
前作で開拓した新境地を、自信を持って軽やかに突き進んだという印象。

「samba de mar」「la mer, le ciel」は、
私が夏に海やプールで聴く音楽として欠かせないし、
「ブリーカー・ストリートの青春」は、
大貫さん全作品の中でもベスト5に入るくらいフェイバリットだ。

同様に前作収録の「若き日の望楼」もファイバリットなのだが、
この2曲は、ビートニクグリニッジ・ビレッジという共通項をもつことを
nov46さん(トラックバック参照)に教えていただいた。

そして、最後のバラード「最後の日付」。
「突然の贈りもの」「新しいシャツ」「風の道」ほどのスタンダード性はなく、
コンサートでもほとんど演奏されないのだが(実際、私は聴いたことがない)、
個人的には前記スタンダード3曲に劣らず好きなバラード。
YMO鈴木茂氏のギター(大村憲司氏でなく)というバック・メンバーに、
YMOキャラメル・ママという幻想を感じたことも理由かも知れない。