ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

大貫妙子さんのターニング・ポイント。「Romantique」

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まるで10本の短編映画を見ているような。
いや1枚まるごと上質なヨーロッパ映画サウンドトラックのような…。
大貫妙子さんのターニング・ポイントとなった力作「Romantique」(1980年)。

*このアルバムの制作に実際に携れた方が、
貴重なお話を語ってらっしゃるブログがあります。
(何度かトラックバックを試みたのですが、なぜか上手くできないので、
 URLも記しておきます)
http://d.hatena.ne.jp/nov46/

このサイトでは、極私的にこのアルバムとの関係を綴ります。

1980年秋、当時高校2年生だった私は、
音楽好きの友人にお薦めの楽曲でオムニバス・テープをつくってもらった。
その友人は、YMOも、KILYNも、はっぴいえんども、ミカバンドも、私に教えてくれた
音楽の先生のような存在だった。

そのテープに入っていたのが、このアルバムの4曲目「若き日の望楼」。
いや、ビックリした。こんなかっこいいバラード、それまで聴いたことがなかった。

1曲目「CARNAVAL」は、バック・ミュージシャンがYMO
プロフィット5の音も高らかな、ヨーロッパ・ラテン・ミュージック。
マニュピレーターは松武秀樹氏で、80年テクノの音全開。カッコイイ!

つづく「ディケイト・ナイト」「雨の夜明け」でフランス映画の上質を感じ、
「BOHEMIAN」では大志を抱き欧州から米国に渡り、
ブロードウェイを、ハリウッドを目指すも夢破れた儚さを感じ、
「果てなき旅情」でスペインを、「ふたり」でロシアを感じた。

音楽が誘う欧州旅行、最後の「軽蔑」「新しいシャツ」で
1980年のTOKIOYMOが「テクノポリス」で表現したところ)に戻ってきて、
最後は1976年シュガーベイブ「蜃気楼の街」をセルフ・カバー。

時代に対するインパクト、斬新さという点で、
1980年当時、こんなカッコイイことをやった女性アーティストは他にいなかったと思う。

大貫妙子さんのターニング・ポイントとなった作品であり、
1980年という時代のエポック・メイキングとなった良品である。