ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

街の灯が輝き増す度に、『LIGHT’N UP』が聴きたくなる。

イメージ 1

寒い日が続いている。気温が下がると、街の灯の輝きが増すように感じる。
(乾燥して、空気中の水分や不純物が減り、光がよりクリアに見えるようになるから?)

昨夜、六本木の外れから西麻布までクルマで走ったとき、
あまりのイルミネーションの美しさに、思わずあのメロディーを口ずさんでしまった。

♪すれ違う人色とりどり 輝く灯に頬を染めたら~(「頬に夜の灯」)
というわけで、今日は吉田美奈子さん『LIGHT’N UP』(1982年)。

リズム・セクションは東京で。
渡嘉敷D、岡沢B、松木G、土方G、佐藤K、富樫Kといった当時の鉄壁メンバー。
ホーン・セクションはN.Y.で。
オリジナルのブレッカー・ブラザーズが競演したり(当時解散していた筈)、
デビッド・サンボーンがサックス・ソロを吹いたり、
錚々たるメンバーの堂々たるセッションが繰り広げられる。
美奈子さんのヴォーカルは、特に高音がフィーチャーされているように今聴こえる。

ミックスは実兄・吉田保氏。
プロダクション・コーディネートは、翌年入籍なさるお相手・生田朗氏。
(このN.Y.録音のメンツの凄まじさは、生田氏のお力でしょう)
アート・ディレクションは、ペーター佐藤氏。
ホーン・アレンジは、清水靖晃氏。

ストリングやコーラス・アレンジで山下達郎氏がクレジットされ、
「斜陽」でコーラス参加。
このアルバムと達郎氏『FOR YOU』が発売された82年から
95年の美奈子さん『EXTREME BEAUTY』まで、
13年間もお二方の競演は途絶えたことになる(今また10年経ってしまった)。

と、レコーディングに関わった人を書き連ねるだけで、
これがどんなに素晴らしいアルバムかおわかりいただけると思う。

『TWILIGHT ZONE』以降の世界観がひとつの完成をみたというか、
黄昏から深夜まで、輝く・煌く・瞬く
都市の表情を描かせたら、この人の右に出る者はいない
と思わせる、アルファ時代の最後のスタジオ録音盤である。