ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

もう一度ファンになった。

tinpan19732011-01-10

坂本龍一韓国公演の
20時からのパブリック・ビューイングを
六本木ヒルズのTOHOシネマズで観た。


昼の回を昭和音大で観たかったのだが、
今日は10時スタートで30km走る大会があったため、
仮眠をとって夜六本木ヒルズで観ることを選んだ。


教授の最近のライヴは、2009年3月のピアノ・ソロ、
12月のゲスト大貫妙子さんのライヴ、
2010年12月の大貫さんとの『UTAU』ツアーを
すべて東京国際フォーラムで観たけれど、誤解を恐れずに言えば、
臨場感・ライヴ感という意味では、今夜のパブリック・ビューイングが
(以降「PV」と略させてもらいます。長いので。略語キライなんですけど)
いちばんだった。教授の演奏時の表情など、実際のライヴの客席からは
まず伺い知れない。地球環境のために照明も抑え目なので、
「観る」というより「聴く」要素が強いライヴがずっと続いていたが、
今夜のPVでは自動演奏するピアノの動きまで目にすることができた。


六本木ヒルズのPV、曲が終わると拍手をするのか?
興味深く一曲目が終わるのを待った。私はすべきと思っていたので拍手した。
客席からの反応はまばら。この拍手、曲を追うごとに大きくなっていった。


ライヴそのものが素晴らしかったのも大きいと思う。
「Before Long」が聴けてうれしかったのと、
Behind The Mask」「Thousand Knives」をこのアレンジで聴くと、
ヒジョーの味わい深かった。「ハッピーエンド」なんてYMOバージョンとは
全く別の曲のように聴こえた。個人的に今夜の白眉はラスト二曲。
MC Sniperをゲストに披露した「Undercooled」とラストの「Aqua」。
今夜の象徴として、この二曲をこれからしばらく聴き続けるだろう。


それから今夜、再認識したのは、私にとっての
“ポップ・スター”“カルチャー・ヒーロー”としての教授の存在。
個人的に、韓国も、日本との関係も、好きじゃなかった。
Ustreamにも、Twitterにも、距離を置いていた。
ましてやそれをPVなんて…。
教授に対しても、『BTTB』あたりからは
一昨年の『Out Of Noise』の前まで、オリジナル・アルバムを買うことも
無くなっていた。


そういった私個人の偏見や先入観を、“世界のサカモト”は
軽〜く飛び超えてくれた。今夜、改めてファンになった。
“前代未聞”や“前人未到”を、
この人は死ぬまで追い求めてほしい。
ひょっとして音楽は世界を変えられるんじゃないか?
そんな気持ちになった2011年1月9日の夜だった。


前夜は、渋谷C.C.Lemonホールキリンジのライヴだった。
キリンジのライヴは4回目ぐらい。これもまた素晴らしかった。
音楽に関して、基本的に私は自分より10歳ぐらい年上の音楽家たちから
影響や感動を与えらえて来たのだけれど、自分より明らかに年下の
キリンジとバンドの面々から似たような思いを得られることに、
たまらなく幸せを感じる。