ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

一年の計としての『ノルウェイの森』。

tinpan19732011-01-07

映画『ノルウェイの森』を観た。
この正月休みに、六本木ヒルズで。


ものすごく混んでいて、最前列しか席が無くて、
見上げるようにして観た。


事前情報は、映画化は基本的にOKしない村上春樹さんが、
このフランス人監督ならとOKして映画化に至ったという程度。
誰が出演してどんな内容かなど全く知らず。
原作のストーリーもカンペキには覚えていない状況。
ただ、この小説のもつ空気感は何となく覚えていて、
それがどう映画として表現されるのか?
それを期待して観に行ったのだと思う。


60年代後半という時代を、10年代の今映像化するのは、
意外と楽だったんじゃないか? 
スタイリストさんはやりやすかったんじゃないか?
と、映画を観てまず思った。
例えば、主演およびその先輩の男性のパンツ(ズボン)のシルエットを
見ても、あの頃と今はとても似通っている。
ロー・ウェストで細目、私が20代だった80年代とは対極のシルエット。
あとは女性の目と眉のメイクがも似ていると思った。


糸井重里さんが大学教授、
高橋幸宏さんが医療施設の管理人、
細野晴臣さんがレコード店の店長。
事前に全く知らなかったので、画面でいきなり見て驚いて、そして喜んだ。


学生運動ドロップアウトした糸井さんが、
活動家たちに突き上げられる先生役。
神経症を公言する幸宏さんが、メンタル・ケアする施設の管理人。
ビミョーにアイロニカルで面白かった。
フランス人監督っぽいウィットだと勝手に思った。
(キャスティングしたのは日本人に違いないけれど…)


最後のクレジットに
「コミュニケーション・デザイン 澤本嘉光」の文字を見たときは…。
少し悲しかった。この種の映画を作り、世の中の人びとに広く伝えるのに、
現在の広告界の著名クリエイターの力を借りなければいけないのか…?
いけないのだろうな。お正月映画は、相当のおカネが動く経済行為だ。
(それこそ、糸井さんに任せればいいのに…。
やらないか。今さら、この種の仕事は…)


小泉今日子さんも出演すれば良かったのに…。
功労者だったし、小説発表時にカルチャー・ヒーローだったのだから。
原作の『ノルウェイの森』が大ヒットした1988年ごろ、
キョンキョンがラジオ番組「オールナイト・ニッポン」で
この小説を面白かったと言ったことが売上にかなり貢献したというような
ことが、当時メディアで良く取り上げていた。


当時、たぶん1989年。
東芝EMIが所属アーティストによるビートルズ
カバー・アルバムを出したはず。
そのアルバムの中で、松任谷由実さんと高中正義さんが組んでカバーしたのが、
ノルウェイの森」だったな。
妙な味のある出来ばえだった気がする。ちょっと聴いてみたい。
Youtubeにあるかな…。


映画そのものは、このように記憶を走馬灯のように呼び覚ます
タイムマシーンとして機能した。
良かったどうかは…。う〜ん。自分にとっての直子像、みどり像が
あって、残念ながら、このお二人の女優さんはそれとはちょっと
距離があった。直子はあの人、みどりは…。う〜ん、ぜんぶ自分の知り合いの
一般人だからな…。ここじゃ説明できない。


というわけで、今年は少しは映画の話もしていこうと思います。
ティン・パン・アレーのSIDEWAYS”の
“SIDEWAYS”は考えてみれば、このBLOGを始めた2005年に
私が観た映画の中でいちばん好きだった作品からとったのだから。
ティン・パン・アレー”“SIDEWAYS”どちらも道を表す言葉であり、かつ
ティン・パン・アレー”=音楽、“SIDEWAYS”=映画
の象徴でもあったことを思い出した。