ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

裏切られ、呼び覚まされ、伝説になる。

tinpan19732010-12-14

次の日のライブは、余計な期待をせずに向かった。
そのこともプラスに作用したのかも知れない。


日曜日の吉田美奈子 & The BandのSTB139ライヴ。
ここ数年のクリスマス・コンサートでは、ベスト!


この10年ぐらい、毎年12月に吉田美奈子さんのライヴを聴きに行けている。
80年代後半から90年代を思えば、それだけでも有り難いことだけれども、
僕にとって日曜日のSTB139ライヴは、
僕にとって伝説の1993年12月の中野サンプラザのライヴに匹敵する
内容だった。


「12月のイルミネーション」が聴けた。「Christmas Tree」も聴けた。
季節柄この2曲のいずれかはゼッタイやってくれると信じていますが、
できれば両方聴きたいとリクエストした。思いが叶った。
さらに…、「Liberty」までやってくれた。
畏れ多くてそこまでリクエストできなかった。
信じられなかった。


この日は、カバーとオリジナルがほぼ半々という構成で、
演奏曲のリクエストを公式サイトを通じて募るという趣向だった。
カバーは3曲リクエストした。
チャカ・カーン「I’m Every Woman」と
ゴスペル「Precious Lord」と
ナタリー・コール「No More Blue Christmas」。
こちらに関しては、「No More Blue Christmas」を美奈子さんが
アカペラで1フレーズ口ずさんでくれただけだった。
でも、それが、うれしかった。


ちょっとドキドキした。
一度もやったたことが無いけれど、
ラジオ番組に出したはがきがDJに読まれるとき、
こんな気持ちになるんじゃないだろうか。


カバーに関しては、ローラ・ニーロやアレサ・フランクリン
そしてそれより数は減るだろうがジョニ・ミッチェルとか
あるいはキャロル・キングまできっと皆がリクエストするだろうから、
それ以外でチョイスしたつもりだ。
実際、ガーシュインからユーミンまで、いろいろ寄せられたらしい。


実際に演奏されたカバー曲は、良い意味で期待を裏切ってくれた。
ビル・ウィザーズ、ダニー・ハサウェイ、カーティス・メイフィールド
ジェームス・テイラー、スティング…。男性ヴォーカルが多かった。
さらにはブラジル音楽有り、ジャズ有り、クリスマス・キャロル有り…。
そのチョイスとパフォーマンスに品格を感じた。


長くなるので、2曲についてだけ取り上げたい。


カーティス・メイフィールド「People Get Ready」
1985年夏、葉山の某海岸の海の家で、
毎晩閉店15分前にこの曲が流れていた。
その年、ロッド・スチュアートがこの曲をカバーしていて、
そのヴァージョンが流れていた。この曲が終わり、あと2曲流れると、
僕の「閉店!」というコールのもと、店はクローズした。
あれから四半世紀後のクリスマス時期、
まさか吉田美奈子&The Bandでこの曲が聴けるとは思わなかった。
泣けた。


● スティング「Shape of My Heart」
「スティングをリクエストしてもよかったんですね?」
土曜日のライブ後早速こんなメールが寄せられたらしい。
僕も同じことを思った。ギター土方氏のリクエストにより演奏されたらしい。
1995年リュック・ベッソン監督の映画『LEON』のエンディングで
この曲を知り、大好きになった。90年代半ばに作ったオリジナル・テープには
節目節目でこの曲が入っている。トランプのハート/スペード/クラブ/ダイヤと
現実世界を掛け合わせた深〜い詞。
そういえばカラオケで何度か歌ったことがあった。今度久々に歌ってみよう。
美奈子さんの足元にも及ばないけれど…。


いつもの吉田美奈子ライヴでは呼び覚まされることのない
過去の情景がリコールされた。
加えて、可能性が少ないと思っていたクリスマス・ソング2曲に、
僕の会社選択を左右してしまった名曲「Liberty」。


今年は、例年以上にスバラシイChristmasとNew Yearが迎えられそうだ。