慌しく初ライヴ。
扉を開けると、一瞬の静寂の後、印象的なあのイントロが聴こえてきた。
木曜日、井上陽水@東京国際フォーラム。
仕事が手間取り、国際フォーラムに着いたのが開演30分後。
入場口へ走り、席に向かってエレベーターや階段を駆け上がった。
ようやく自分の席に近い入場扉へ。
扉を開ける。曲と曲の切れ目らしい。一瞬の静寂。
その後、陽水氏のギターがあの曲のイントロを奏で始めた。
「帰れない二人」。今回のライヴで聴きたかった曲。
いきなりジ〜ン。
数十分前、仕事を片付けるため電話でガナリ立てていた時間とは、
正反対の時間が広がった。
曲と曲の間でないと入り口から席へ着くことはできない。
近くに案内の人がいたが、そんなことお構い無しに、
僕はこの曲を口ずさみ楽曲の世界に浸った。
曲が終わり席へ。
しばらくすると「新しいラプソディ」も演ってくれた。
40周年を記念するライヴらしく、ヒット曲満載というか、
メジャーな曲をこれでもかと演奏し唄ってくれた印象。
僕が到着する前に「闇夜の国から」も演ったらしい。
「闇夜の国から」、たしか1974年春、「心もよう」の後のシングル。
当時小学五年生になったばかりの僕は、
「心もよう」より「闇夜の国から」のほうが、明るくてPOPで好きだった。
この曲をライヴで聴けたら、きっと込み上げてくるものがあったことだろう。
陽水氏の歌声、初めてライヴで拝聴したが、予想通り素晴らしかった。
この声を大切に、いつまでも歌い続けてほしい。
ちょっと気になったのが、聴衆(僕より年上の人が多かった印象)の拍手が、
楽曲の演奏が終わるより早く始まってしまうこと。
陽水氏の歌声はもちろん、バックUPミュージシャンたちの演奏も
含めて音楽であるわけで、それらすべてをぜんぶ
聴き終えてから拍手をするべきなのになと感じた。
僕が良く聴きに行く、吉田美奈子さんや山下達郎さんのライヴでは
持ち得ない感想だった。
今回のバックは、ドラムが山木秀夫氏だったり、
(久々に山木氏ドラムで美奈子ライヴを聴いてみたいものだ)
ギターが今剛氏だったり、
(Oh! 元パラシュート! この人のギターを生で聴くのはいつ以来だろう?)
名うてのミュージシャンたちがニュアンスあふれる演奏を繰り広げていた。
その余韻まで、ゆっくり堪能したかったのに、
気の早い拍手がそれを遮ってしまった印象。
とにかく今、仕事が凄い状況のせいか、
自分の世界や時間を侵食するものに敏感
というか拒否反応が凄いのかも知れない。
ライブが終わり会場外へ。
国際フォーラムのホール内はケータイが「圏外」だった。
これは素晴らしいことのように思った。
外へ出て、ケータイから会社のメールをチェックすると、
新規メールが27件。
一切無視して、ご同行いただいた方と
ワインでも飲みながら余韻に浸ることにした。