ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

埠頭を渡る風に吹かれ、摩天楼の衣擦れを聞いた日。

tinpan19732009-09-24

ティン・パン・アレーを訪ねて】第18回


当Blog内に、こんな連載があることを思い出した。


ティン・パン・アレー所縁の通りや界隈を訪れたとき、
その道や街にまつわるあれこれを綴る不定期連載
ティン・パン・アレーを訪ねて」。検索してみたら、第18回になっていた。
今日は久々にトライしてみることにしよう。


連休の最後二日間、あるランニング講習会に参加した。
フル・マラソン挑戦の日まで二ヶ月を切ったものの、
暑さと忙しさに負けてほとんど準備が進まないので、
いっそカネを払って泊り込みの合宿に参加しようと思い至った次第だ。


参加して良かった。フォームをビデオ撮影してもらい、
長い時間と距離を走りつづけるための理想的なフォームというのが
理解できた気がしたし(恥ずかしかったけれど…)、
マラニック」(「マラソン」+「ピクニック」の造語だそうです。
この言葉のサウンドは個人的にはイマイチだと思うのですが、ランナーの
世界では一般的な言葉なのかな?)で、27km走ることができた。
私のこれまでの最長はハーフ・マラソン21kmほどなので、
最長距離を走ったことになる。間に食事を挟み、
1km=7分半ぐらいのゆっくりしたペースだったけれど、
とにかく距離を走りたかったので有り難かった。
走り終えたときは達成感を覚えた。


この27kmのコース、走り終えた今思うに、
立派に“ティン・パン・アレー”だと思った。


まずスタートは夢の島公園
一ヶ月半ほど前、YMOムーンライダーズが出演したライヴが
繰り広げられた場所から走り始め、辰巳を通って、
お台場・東雲方面へ。鈴木茂氏が春先に逮捕された場所の近くを
たぶん走ったと思う。走るのに夢中で気づかなかったけれど…。


東京マラソンのゴール地点や、
2016年東京オリンピックのメイン・スタジアム予定地の近くも通った。
オリンピック開催地決定は10月になってすぐか?
晴れて開催地に選ばれたとして、テーマ曲は誰が歌うのかな?


1972年札幌冬季五輪のトワ・エ・モア「虹と雪のバラード」は覚えている。
村井邦彦さんがたしか作曲されたはず)
1964年東京五輪は「東京五輪音頭」がテーマだったのかな?
たしか山下達郎さんが好きだった曲と何かで読んだ覚えがあるが…。


勝鬨橋を渡り、築地へ。ここでランチをとり折り返した。
帰りは隅田川沿いをしばらく走った。浅草と竹芝を結ぶ遊覧船を何隻か見た。
松本隆氏の小説『微熱少年』や細野晴臣氏「Pom Pom蒸気」が
脳裏を掠めつつも走りつづける。


やがて晴海界隈、目の前にはお台場が見える。
この風景は、昔よくドライブした80年代前半から本当に変わったな〜と思った。
記憶にある風景はいつも夜で、お台場はいつも工事中だった。
ユーミン「埠頭を渡る風」の舞台は「晴海埠頭」だということで、
聴きながらよく夜ドライブした。夜景の中キラキラと見えていた工事中のお台場は、
まるでボクたちの未来のように輝いていたけれど、
はつぴぃえんど(はっぴいえんど)「風をあつめて」の
「靄ごしの路面電車」や「摩天楼の衣擦れ」のように霞んでいた。


なんて、ありがちなセンチメンタリズム。今のボクに大切なのは、
目の前の現実。27kmを走りきること。ゆっくりと走りつづけた。