ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

夏の真ん中に聴いた、僕のど真ん中。

tinpan19732009-08-18

先週末、木曜・金曜と休んだ。
土日と併せ4日、情けないがこれが今年の夏休みとなりそうだ。


お盆は東京にいるほうが、電車が空いていたり
空気が澄んでいたりで好きだったりする。
旅に行くにも料金は高く人間は多く、メリットを感じない。


この4日間、基本的にボーッとして過ごした。
線香を上げに行く用事があったので1時間ほど電車に揺られた。
電車の中、聴きたかった新譜を通しで聴くことができた。


ダイアン・バーチ(Diane Birch)の
デビュー・アルバム『バイブル・ベルト(Bible Belt)』。
キャロル・キングのLiveに一緒に行った知人から薦められ
音源をお借りした作品だ。


良かった。スバラシイと思った。


「キャロル・キングやアレサ・フランクリンを彷彿とさせる…」
Webで検索するとこんな形容が付き、
「またぁ!」「ホントかよ?」と思ったりしたのだが、
実際に聴いてみて納得した。


アルバムの中の楽曲のバリエーション。各曲の完成度が
スバラシイと思うのだ。
このバリエーションと完成度は、
キャロル・キング『つづれおり(Tapestry)』、荒井由実『ミスリム』に
通じると感じた。


70年代のキャロル・キング、ローラ・ニーロ、
ジョニ・ミッチェルカーリー・サイモンあたりから、
90年代のシェリル・クロウやアラニス・モニセットまで
アメリカの女性ヴォーカルは結構聴いたけれど、
その良き伝統=アメリカらしさを00年代らしく表現していると思った。


時代が新しい分、音がカッコ良くなり過ぎて、
逆にクリエイティブとして駄目になる。
そんな例を感じることも音楽の世界では多いのだが、
この作品はそんなことがないと思った。
プロデューサー、アレンジャーが優秀なのだろう(マイアミの人らしい)。


“ゴスペル、ロック、カントリー、セカンド・ライン・リズムなど
50年分のアメリカ音楽のポートレイトというべき作品”
とWebのCD評に書かれてあったが、これで分かった!
アメリカ音楽のバイブル(Bible)が揃った(Belt)」
それで『バイブル・ベルト(Bible Belt)』なのだろう。
アメリカなので「コットン・ベルト(「穀倉地帯」「小麦地帯」)」とか、
そちらの方向からタイトルの意味を考えていた。


あと、『つづれおり(Tapestry)』『ミスリム』との関連で言うと、
楽家はそのキャリアの中でクリエイティブなエネルギーに満ち満ちた時が
あり、その時に大衆性を獲得する傑作というのは生まれやすいと思うのだが、
そういったエネルギーにあふれた時期なのではないだろうか?
現在のダイアン・バーチは。まだデビュー・アルバムだそうだけれど…。


とにかく、一曲一曲のメロディーやアレンジが、
嫌味なく心地良く耳に入ってくるのだ。
ここ数日間、電車に乗っている間聴き続けている。