ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

1/3の?

tinpan19732009-07-26

土曜日、STB139の吉田美奈子&The Bandライブへ。
この1〜2ヶ月、本当に忙しく、嫌なことや辛いことも
かなりあったため、この日を心から待ちわびていた。


日常のしがらみを思い切り忘れて音楽に浸りたい。
開演に間に合うかジタバタするのも嫌なので、
金曜でなく土曜のライヴを選んだ。


ライブは、日食直後ということもあり、
予想通り「CORONA」(1990年『gazer』)「Lunar Eclipse」(1997年『SPELL』)
を演奏してくれた。
聴きたかった「CROW」(1997年『SPELL』)や「RIM」」(2006年『Spangle』)
も聴くことができた。


「CORONA」や「Lunar Eclipse」を聴くと、
天上の星や月や太陽そして風といった天空現象を
歌わせたら、この人の右に出る人はいないと思うし、
「CROW」や「RIM」」を聴けば、
都市に生きる人間の侘しさや儚さをこれ程鮮やかに描ける人は
他にいないと思う。


新曲を2曲披露してくれた。
「Christmas Song Backyard」「時のストレイタム」というタイトルだそうだ。
それはとてもうれしいことだけれど、
「幸せの上で」「Lung-ta」「LIFE」と併せ、
未発表曲(音源が発売されていないという意味)が5曲演奏されたことになる。
全15曲のライヴのうち5曲、3分の1が正確にメロディーと歌詩を知らない曲。
正直、これは辛かった。


私にとって吉田美奈子ライヴとは、
詩をかみしめ、耳にタコができるぐらい聴き込んだ曲を、
敏腕ミュージシャンたちの演奏と美奈子さんの凄すぎる歌で
再認識する場。どんどん変わるアレンジや、二度と同じ演奏や歌など
有り得ないと言わんばかりの一期一会のパフォーマンスの一挙手一投足を、
瞬間の狭間まで感じたくて、足を運び続けている。


その土台が揺らいでいる。
遠くない将来に、Newアルバムというカタチでこの5曲が聴ける
とわかれば、それはそれで安心できる。
そうでないとしたら…。覚えていない歌詩と旋律の曲では、
演奏や歌の凄さや上手さは記憶されても、
楽曲の世界に浸り切ることができない。


「Lung-ta」がチベットをどう描いているのか?
「LIFE」で表現しようとしている真実は何なのか?
記録=レコードがないとわからないのだ。


これらの5曲を配信なりで発表してもらえないだろうか?
せめて歌詩だけでも販売してもらえないだろうか?


日常を忘れるというより、日常の延長上に存在した
そんなふうに感じた今回のライヴだった。