ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ポップ・ミュージックの様式美。

tinpan19732009-04-18

木曜日、中野サンプラザ
山下達郎Liveへ。2 Daysの初日。


今回の6年ぶりのツアー、私は何度チケット予約に外れたことだろう。
先行予約に本番にモア・チャンス、NHKホールもサンプラザも
ことごとく外れ、友人が当たったチケットで何とかこの日を迎えられた。


ツアー自体は、追加公演の5/11中野サンプラザ(当然この日も外れました)
まで続くので、その日が終わるまで感想をここに記すのは控えようと思ったが、
そこまで待っていられない。感動が薄まってしまう。


そこで、具体的な曲名を記すことなく、書き綴ってみることにする。
とは言え、ファンの方には何の曲がすぐわかってしまうと思います。
ネタバレになってしまいますので、以後ご注意ください。


オープニングは、あの曲だった。
今回は新譜のプロモーショナル・ツアーではないので、
一曲目はこの曲ではと思っていたが予想通りだった。


続いての90年代半ばのシングル曲、90年代始めのシングル曲が
うれしかった。Liveで聴いたのは初めて。聴けるとは思わなかった。


中盤の大阪フェスティバル・ホールに捧げる曲も良かった。
この曲と併せ、78年発売のアルバム『GO AHEAD!』からは、
何と4曲も演奏されたことになる。
必ず歌うと思っていた大定番曲以外の3曲は、聴けると思わなかったので、
うれしかった。あの曲とあの曲は、アルバムでの吉田美奈子コーラスがまた
いいんだよなぁ。


91年のアルバム『ARTISAN』からも2曲演奏された。
この2曲、当時はダサイ!何てヌルイ詞だ!などと毛嫌いしていた
ものだけれど、20年近く経って、そんな思いさえ懐かしくなって、
いっしょに口ずさみジ〜ンとしている自分がいた。


山下達郎さんのLiveというのは、“様式美”なんだと思った。
オープニングに演奏される曲は、
新譜のツアーのときはアルバムの一曲目か、
そうでなければあの曲もしくはあの曲。
中盤にアカペラ・コーナーがあって、クリスマスのあの曲が歌われて。
後半、クラッカー弾けるあの曲で盛り上がり、
ブレイクした80年シングル曲でクライマックスへ。肉声で締める。
そして、アンコール最後はあの曲。


“様式美”、歌舞伎のようなもの。
でも、それはゼンゼン悪いことじゃなくて、むしろ素晴らしいこと。
練りに練られたアレンジ、構成。
名うてのミュージシャンたちが繰り広げる演奏、
(今回から参加のドラム小笠原氏、只者じゃないと思った)
そして、何より、老いて(失礼!)ますますご健在の達郎ヴォーカル。
ニッポンの他のポップ・ミュージックとは一線を画し、
伝統芸能”の領域にもはや達しているように感じる。
文化勲章」を与えるべきだ。いや、きっと本人はイヤがるだろう。


こんなLiveを、これからあと何回聴けるのだろう?
終わってから、そんなことを考えた。
そんなセンチメンタリズムを笑い飛ばせるよう、
Liveの本数と回数が増えてほしいものだ。