ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

二つのチベット。

tinpan19732008-12-22

YMOのライヴ・アルバムが発売されたようで…。
8月の夢の島ライヴに山陰旅行のため行けなかったせいだろうか、
今年のYMOムーヴメントとはかなり距離を置いている。
いや、80年代の大ブームのときもそうだった。
最初こそ思い切り踊らされたものの、
『BGM』以降一気に熱が冷めていった当時の多数派の一人が私である。


YMOは 遠きに在りて 思ふもの”
80年代のブーム時と、93年の再生時と、
07年のKIRINラガーCMから始まった一連のムーヴメントを振り返り、
それぞれの時代における自分の立ち位置を考えたとき、
そんな言葉が脳裏をよぎる。


ライブ・アルバム、御三方の生演奏が話題のようで、
スペインとイギリスどちらの音源にも「TIBETAN DANCE」が収録されている。
YMOでなく、坂本龍一『音楽図鑑』の曲をあえて演奏したことに、
(80年代も教授の『B2-ユニット』の曲を演奏したりしたと思うが…)
2008年的意味を感じる。


「TIBETAN DANCE」…、メロディーに東洋を感じる教授の曲は
名曲が多いと思う。70年代の「千のナイフ」「東風」、
80年代の「Merry Christmas Mr. Lawrence」「The Last Emperor」等、
教授らしさが存分に発揮される分野なのではないだろうか?


チベット…。北京五輪が開催された今年、かなりメディアを賑わせた。
政治に対して音楽のできることは限られている。
その限られた中で何をするか? 何をメッセージしどう行動するか?
判断するのは受け手である個人個人、
それを扇動するのでなく、音楽家として「どう思い、どう考えるか」が、
この選曲と演奏に込められている気がして、
このスペインとイギリスの音源はやはり聴いておかなくちゃいけないな
と2008年の私は思う。


はつぴぃえんど(はっぴいえんど)〜ティン・パン・アレーYMO
に至る流れの中心や周辺にいた音楽家たちは、
こういった主義・主張の仕方に美学・洗練が感じられるのだ。
そこが、私がこの方たちを音楽以外にも敬愛する理由なのだと思う。


2008年、もう一つチベットをモティーフにした音楽を聴いた。
吉田美奈子さんが作詩・作曲した「ルンタ(Lung-ta)」。
「ルンタ(Lung-ta)」とは、「風の馬」「チベットの五色の祈りの旗」の意味らしい。


まだLiveでしか演奏・歌唱されていないので詩の内容はよくわからない。
が、刹那さや果敢なさ、絶望の中の希望のようなイメージは伝わってくる。


チベット問題、そう簡単に答の出ない政治問題。
でも無関心でなく「考えることをしよう」と私は思った。
新聞やTVのニュースを見ただけでは、あまり思わなかったけれど。