記憶が流れ行く。ポップ・スターのフル・マラソン。
水曜日、東京ドームの
沢田研二「人間60年 ジュリー祭り」へ。
平日の午後3時開演、終演は午後10時近かった。
間に30分の休憩はあったものの、
ジュリーは80曲近く歌ったと思う。
私は、安井かずみさんが詞を書かれていたころの
ジュリー作品が好きだ。
「あなたへの愛」「追憶」が聴けてうれしかった。
できれば「胸いっぱいの悲しみ」「魅せられた夜」「白い部屋」も
聴きたかった。
「恋は邪魔もの」が聴けるとは思わなかった。
それから、荒井由実作詞「ウィンクでさよなら」も。
いずれも、ライヴに似合う軽快なナンバー。
「ウィンクでさよなら」はレコードでは
山下達郎・大貫妙子がコーラスだったはず。
1976年の4月か5月のシングル発売だったから、
レコーディングはまだシュガー・ベイブ解散前に行われたと思う。
「危険なふたり」
「勝手にしやがれ」
「時の過ぎゆくままに」
日本人の十人にひとりは口ずさめるんじゃないかと思われる
有名なヒット曲を、ライヴで聴くと
楽曲の素晴らしさに改めて驚かされ、売れる必然を感じた気がした。
「TOKIO」は、発想の勝利というか、
糸井重里さんはサスガ!だと改めて思った。
この曲(1979年12月発売)から、
ニッポンの歌謡曲の80年代は始まったのだ。
周囲ではYMOも「テクノポリス」のイントロで、
教授がヴォコーダー・ヴォイスで、
♪TOKIO, TOKIOとのたまわっていたっけ。
終演近くの「あなたに今夜はワインをふりかけ」。
77年か78年ごろのサントリーCMに使われ、
たしかシングル「サムライ」のB面曲。
ワインを飲みまくってカラオケに流れたとき、私がよく歌う曲。
こんな曲もやってくるんだ。大声で歌った。
私は80年代以降のジュリー作品はほとんど知らない。
40年を超えるジュリーのキャリアの15年ぐらいしか把握していない。
それもシングル作品のみだ。
そんな私でも、きちんと楽しめるコンサート。
“売れること、メジャーであることの意味と価値”を改めて考えさせられた。
40年以上駆けつづけたポップ・スターの7時間・約80曲に及ぶLive。
ずっと走り続けた人が、目の前でフル・マラソンを走って、
それを沿道で応援しつづけたような、そんな夜だった。
その曲を聞いていたときの自分、あの曲が流行っていたころの自分。
いろんな記憶が脳裏に浮かんでは流れていった。