ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

YOKOHAMAで感じた“お茶の水ファンク”。

tinpan19732008-12-03

神奈川県民ホールスガシカオLiveへ。


みなとみらい線日本大通り」駅から徒歩5分で
行けるようになったアクセスの変化にまず驚く。
その昔は、桜木町駅関内駅から15分ぐらいかけて
歩いたものだ。


1階8列という席に、つづいて驚く。
このホール、いつぞや(20年以上前です。ハイ)の
ユーミンのコンサートで15列ぐらいだったのが、
私にとっての最前列。8列だとこんなにアーティストが近いのかと
しみじみ感じた(サトーさん、ありがとう)。


9月に発売されたNEWアルバムを聴いていなかったので、
知らない曲が多くて楽しめないとイヤだなぁと思っていたけれど、
知っている曲を結構やってくれて、
それからツアー後半だそうで音が練れていてかなり楽しめた。


前半で演奏してくれた「斜陽」。
ひとつ前のアルバムの曲なので聴けると思わなかったので驚く。
この歌詞に出てくる“公団”という言葉。
キリンジの「エイリアンズ」という曲にも“公団”が登場する。
スガシカオキリンジの“公団”について書いてみようと、
そういえば去年ぐらいに思ったことを想い出した。


アコースティック・コーナーで演奏してくれた「黄金の月」。
ギタリストのガット・ギターとスガシカオ本人のギターとの
デュオで聴かせてくれたのだが、イヤ、このガット・ギターの
カッコよさに驚いてしまった。ヨカッタ!マイッタ!


NEWアルバムは『FUNKAHOLIC』というタイトルで、
ファンク色が前面に出ているらしい。そのプロモーション・ツアーなので
ファンク・テイストの曲が多かったのだが、これに関しては…。


80年代前半“ファンクの女王”と呼ばれた吉田美奈子さんの影響で、
P-ファンク系の音楽を少し齧ったせいか、
スガシカオさんの標榜するファンクはかなり健康的・優等生的に
感じられた。
イヤ、適度の挫折や蹉跌を知っている自省的・内省的な
“お茶ノ水ファンク”と呼ぶべきか?


なぜ“お茶ノ水”なる固有名詞が出てきたかというと、
これも一ヶ月ぐらい前のNHK音楽番組「SONGS」で、
スガシカオさんが特集され、楽曲が生まれたバックグランドを
スガさんの口からかなり事細かに語られていたのだ。
(フツー、音楽家はここまで詳しく楽曲の背景を語らないと思う)。


その番組の中で、「夜空ノムコウ」のモチーフが
予備校時代によく出入りした“お茶ノ水”のどこかの
公園だったと語られていたように思う(記憶ちがいだったらご指摘ください)。
社会人になって勤務した会社の近くに代々木公園があって、
そこの公園でひとり昼飯を食べながらミュージシャンになることを考えていた
というようなシーンもあったと思う。


お茶の水ファンク”というより“公園系ファンク”なのかも知れないが、
お茶の水ファンク”のほうが語呂がいいかな。
黒人・肉体的なネイティブなファンクとは異なる、
黄色い日本人が頭で描き考え志向するファンク。


とてもメロディアスで、かなりインタレクチュアルで、でもしっかりグルーヴィーな
ファンクに聴こえた横浜の夜だった。