ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

1974年の雨。1982年の雨。

tinpan19732008-04-17

また、天気は下り坂。
窓の外の路面が濡れ始めた。
今年の4月は雨が多い。
低気圧が教科書のように律儀に日本列島を通過している気がする。


1974年の4月も雨が多かった。
私は小学5年生。新学期が始まってから3日間は雨が降り続けた
ことを記憶している。新しいクラスメートと休み時間に校庭で遊べた日は、
4月は数えるほどだったように思う。


そんな1974年の4月21日にリリースされたシングルが、
南沙織「バラのかげり」。作詞・有馬三恵子、作曲・筒美京平
当時、南沙織さんの曲は、とにかくいい曲が多かった。
メロディーはもちろん、サウンドやアレンジも洒落ていた。
他のアイドルが歌う曲より品があると思った。


この「バラのかげり」、イントロが印象的だった。
音がソウルフルだと思った。当時は「ソウルフル」なんて言葉は知らず、
洋楽っぽい演奏だなと感じていたと思う。


演奏していたのは、ティン・パン・アレーらしい。
「らしい」というのは、次のシングル「夏の感情」がティン・パンの
演奏であることは、篠原章氏の文で読んだことがあり断言できるのだが、
この「バラのかげり」については出典に記憶がない。


だが、この緊張感。この疾走感。
ちょうどキャラメル・ママからティン・パン・アレーに名称変更した時期の
あの人たちの演奏であることはほぼ間違いないだろう。
林立夫D、細野晴臣B、鈴木茂G、Kはまだ松任谷正隆さんのような
気がする。佐藤博さんではないだろう。


1974年。オイル・ショック、紅茶キノコ日本沈没…。
石油をめぐる状況が今と似ているという話を、
そういえば先日記したな。
スリーディグリーズ「ミッドナイト・トレイン」と絡めて。


あの日は、石油の価格から1974年を想起したのだった。
今日は、窓の外の雨の風景と、気温と湿度から、
34年前の4月を思い出した。


春に似つかわしくないというか、無性にもったいない気がするんだな。
桜の淡いピンクが終わった後に、この曇った空と降る雨のグレーの風景は。
とともに、妙に趣きがある気もする。
今の、この、空の色と雨の降り方を、
そのまま北鎌倉駅のベンチにスライドさせれば、
松本隆作詞「赤いスイートピー」(作曲・呉田軽穂、歌・松田聖子、1982年)の風景だ。


4月の雨に打たれ…ないように、ちょっとコーヒーでも買いに行こう。