ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

楽しみにしていたのに…、悲しい日。

tinpan19732008-04-04

NHK『SONGS』に一年ぶりに竹内まりやさんが
出演された。2000年の日本武道館でのライヴ映像を
見ることができたり、それなりに楽しめた。


今年デビュー30周年でレーベルを越えたベスト盤を
発売されるらしい。Web等で楽曲の人気投票を行ったらしく
1位 駅
2位 人生の扉
3位 元気を出して
とのこと。ウ〜ン。私だったら
1位 五線紙
2位 僕の街で
3位 ブルー・ホライズンかラスト・トレイン
いいんだ。どうせ、個人の趣向の問題。それにしても、「駅」が1位か…。


番組の最後には、新曲を披露してくれた。
「うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)」というタイトルで、
嫁いで行く娘を見送る母を歌った曲らしい。
これまで世の中になかったタイプの曲と番組で言っていたけれど、
ウ〜ン…。正直、かなりの抵抗感を覚えた。


昨年の「人生の扉」あたりだと、50代が自身を等身大に投影できる
演歌でなくポップスがようやく生まれたと好意的に思えたが、
ここまでくるとあざとさを感じてしまう。
まりやさんはデビュー直後から、ご自身の環境や状況を等身大に見つめた
詞をよく書いていらした。今回のこの詞も、実の娘さんとご自分の立場を
重ね合わせてと考えれば合点がいくがそれにしても…。


さだまさしさんに「親父の一番長い日」という曲があったと思う。
調べてみると1979年だった。「関白宣言」に続くシングルで、
結婚式、嫁ぎ行く娘を見送る父を歌った曲。
イジョーに長い曲で、作り手の作為をトゥー・マッチに感じた。
曲の設定が父から母へ変わった以外はほぼ同じのせいか、
あの曲と同じような印象を、この新曲から感じた。
そうそう。挙式直前の庭で過去の思い出を燃やす娘、
縁側で見つめる母というシチュエーションの山口百恵秋桜」。
ひと頃結婚式で歌われる定番ソングだったこの曲も、
さだまさし作詞・作曲だったっけ…。


「うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)」を歌う映像は、
山梨県かどこかのリゾート地のチャペルで収録されたようだ。
(チャペルでなく、チャペル風建物であってほしい)
教会でピアノを弾き語り、しかもそれはLiveでは無く口パク
というような手法にも抵抗を覚えた。
教会は、宗教を信仰する人たちが祈りを捧げる神聖かつ敬虔な場所。
宗教や信仰とは直接結びつかない音楽を、このようなかたちで披露するのは
いかがなものかと思った。


80年代後半から90年代半ばにかけて、友人や知人の結婚式によく出席した。
ウェイディング・ケーキ入刀直後に流れることの多いウェディング・マーチ。
まりやさんの「本気でオンリー・ユー」(1984年『VARIETY』収録)のイントロで
坂本龍一氏が奏でるウェディング・マーチを使う式も多かった。
耳にするたびうれしくなった。
あれからそろそろ20年、この「うれしくてさみしい日(Your Wedding Day)」が
流れる結婚式には決して居合わせたくないと、
未だ自分のウェディング・マーチを響かせたことのない私は思う。