ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

変化と不変。凝縮された書籍。択一させる季節。

tinpan19732008-03-26

Amazonから『はっぴいえんどコンプリート』が届いた。
木村ユタカ氏監修、シンコーミュージック発行の書籍。
たしか昨年、在庫が無く購入できなかった
はっぴいえんどBOOK』(同社発行)に、
新情報を32ページ増補したものだそうだ。


会社に届いた。なぜか時間がありパラパラとページをめくる。
シンコーらしく、当時の雑誌記事が再掲されているのが有り難い。
『ヤング・ギター』1971年9月号の松本隆氏による「舌足らずのぱふ論」
なる記事を思いがけず読むことができ、心躍る。


「ぱふ」は吉田美奈子さんと(ピアノとヴォーカル)、
ブルース・クリエイションにしてはつぴぃえんど(はっぴいえんど)にも
一時在籍した野地義行さん(ベースとギター)によるデュオ。
結局1枚もアルバムを残すことなく解散したのだが、
後に美奈子さんの1stアルバムに収録された「ねこ」「綱渡り」の詩世界を、
松本隆さんが論じている。吉本隆明氏やローラ・ニーロを引用しながら…。
たまらない。オモシロイ。


金延幸子さんのインタビューも掲載されている。
Sachiko』(1999年)と
ハリー&マック『ロード・トゥ・ルイジアナ』(1999年)が
サンフランシスコの同じスタジオでレコーディングされた理由等、
興味深く読む。
金延さんは現在ソノマ・カウンティにお住まいとのこと。
ソノマ…。ワインが美味いだろうなぁ。ピノ・ノワール種の。
って、ちょっと不謹慎かつ失礼だな。
福祉関係のお仕事をなさりながら、グランド・マザーになられた今でも
曲を作り歌を唄われている金延さんに対して。
空がきれいでしょうね。ソノマは。
『み空』、実はちゃんと聴いていない。この機会にCDを買おうと思う。


職場の、騒然かつ雑然とした自分の机で、
思いのほか世界に入り込んで読み耽った。
ちょっとフシギだった。
昨日まで慌しく僕を追い立てていた仕事が、
この1時間ほど恐ろしいほど静かになった。


外では桜が、早くも二〜三分咲きといったところ。
時が過ぎ、変わるもの。変わらないもの。
今年の春は、例年以上に、変化と不変の二者択一を
僕に迫っている気がする。