ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ForgivenessとForgiving。

tinpan19732008-01-04

喪中につき新年のごあいさつはご遠慮させていただき、
いきなり本題に入ることにいたします。


喪中にも関わらず、きちんと案内を出したにも関わらず、
年賀状が何枚か届いた。差出人が、この件に密接に関係した会社の人だったり、
告別式にご列席いただいた人だったりするから恐れ入ってしまう。
喪中の人に年賀状を出してしまう人、
同じ相手に二通年賀状を出してしまう人、
こんな人間にならないよう、いつからか細心の注意を払うようになった。


「何らかの事情で、喪中はがきが届かなかったのだろう」
そう思うことにしよう。新年早々気持ちを荒立てるのは良くない。
今年はとにかく気持ちを大きく、少々のことでは動じない
怒らない人間になるんだ。


「許す」、いや「赦す」と表現したほうが相応しい、
壮大なラヴ・ソングがある。I Love YouじゃなくWe Love You、
いやWe Love Usという世界観だろうか。


ひとつは、松任谷由実「Forgiveness」。
2006年発売の現時点での最新アルバム『A Girl in Summer』収録。
このアルバムと前作『VIVA! 6×7』の2枚は、
かなりの名作だと個人的に思う。


私がユーミン作品で最も好きな2枚『悲しいほどお天気』『流線形80』に
匹敵するくらいの。この70年代後半の2枚は、
「あの日に帰りたい」の第一次ブームと、
「守ってあげたい」の第二次ブームの谷間の時期で、
セールス面では低迷した。しかし作品の質・幅とも申し分なかった。
近作2枚『A Girl in Summer』『VIVA! 6×7』も、
セールス面では苦戦しているらしい。


「一枚でもユーミンのアルバムを買ったことがある
 一人でも多くに人に、新作を買ってもらうようにする」
これからはこんなマーケティングの方向性で活動されたらどうだろう。
もう新規ユーザーや世代の取り込みを狙わない。
詳細については、話が長くなるので、また改めて記すことにしよう。


「Forgiveness」は、21世紀になってからのユーミン全作品中でも
ベストワンと言い切れるほどの名曲ではないだろうか?
アルバム発売直後店頭で配布されていたリーフレットに、
松任谷正隆氏も自信たっぷりにコメントしていた。


“ゆるし合うほほえみは 神様にもらった最高の贈物”
夕焼けの帰り道、ケンカした子供が仲直りする歌、
子供のことを歌いつつも大人同士、国家同士を投影できるような
スケール感あふれる作品。曲もアレンジも素晴らしい。
ただ、ハウス食品のシチューのCMに使われたことが、
曲のイメージを逆に下げてしまったような気がしてならない。


「赦す」曲、もうひとつは、吉田美奈子「Forgiving」。
こちらは2002年、当時5年ぶりに発売されたアルバム『Stable』収録。
目標に向かってがんばっている。途中で挫けそうになる。
そんなとき、たとえそれが微かでも希望の光を信じることができたら…。
“孤独を赦そう”自分を励ます歌だ。


松任谷由実「Forgiveness」と吉田美奈子「Forgiving」、
キャラメル・ママサウンド・サポートを受けデビューした
二人の音楽家は約30年後、21世紀になって、
いよいよ“Forgive”の境地に達したのか
と思ったりしたものだ。


こんなカンジで今年も。いやテーマはもっと広くもつことにしよう。
自分を赦して。ティン・パン・アレーは、「主流に対するアンチテーゼ」
「あまりメジャーじゃないけどクオリティあるもの」
「ストリート=大通りじゃなくて、アレー=小道」と解釈して…。
そうしないと、つづかない。