ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ホソノさんの歴史があった。ボクのあの頃もあった。

tinpan19732007-12-11

ミッドタウンにあるサントリー美術館
「鳥獣劇画がやってきた!」展を観に行く。
混んでいるとは聞いていたけれど、
平日月曜日の昼間なのにスゴイ人!
国宝『鳥獣人物劇画絵巻』に沿って人がビッシリ並んでいる。


このままこの列の流れに合わせ進んでいると何時間かかるかわからない。
昼休みの散歩がてら出かけて来たので、一列目最前列での鑑賞をあきらめ、
二列目を自分のペースで観て歩いた。


日本絵画史の一大傑作という触れ込みはよくわからないが、
日本のアニメ文化の源流はこれだと思った(と思ったらパンフにもそう書いてあった)。
あふれるユーモア、たくみな擬人表現…。


このBLOGの趣旨に照らし合わせて考えてみると、
この絵巻は細野晴臣さんだと思った。細野さんの音楽家としてのキャリアそのもの。
♪行こう帰ろう 月の砂漠へ〜
たとえばウサギの絵を見ていると、思わずこんなフレーズを口ずさみたくなる。
全編にあふれる諧謔精神。
その時その時で、トロピカルだテクノだアンビエントだと、
タッチやトーンやマナーを変えつつも、
通底するクオリティ。その時その時で味がある。
22世紀ぐらいになったら、細野さんの音楽人生が、
このような絵巻になって展示される日が来るのかも知れない。


帰りは檜町公園へ抜けて、三河台を抜けて帰る。
ちょうど21世紀になろうとする頃、私が土日もなく通いつめた制作会社が入った
ビルの前を通りかかる。あの夏、あるキャンペーンを抱え込んで、
8月の休みはたしか2日で、広告にイベントにPRにSPに、
何ひとつ思うように進まず、身も心も消耗した。
でも、それも、今から思うと、
さっき見た絵巻の中の一匹の動物のようだ。
ジタバタ、ドタバタしている様が、
いかにも20世紀末のありがちな仕事人間のようで、
ちょっと悲しくちょっと可笑しい。


そんなことを考えているうちに、大通りに出る。
せわしく行き交う人。あわただしく行き過ぎるクルマ。
iPodからは、またもUNDERGROUDが流れている。
師走の街と彼らの音楽は、テンポが似ている。
なぜUNDERGROUDか…。次回こそ記すことにしよう。