ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

色づく曲たち。

tinpan19732007-11-21

都内の紅葉が、例年より早い気がする。
ここ10年ぐらいは、12月にならないと
街が色づかないような状況だったと思う。


順調に寒くなり、順調に季節が進んでいるようだ。
季節に追いつくために、仕事がちょっと落ち着いたこともあり、
今日は昼に会社を抜け出て、通勤途中にあるMy紅葉スポットへ
散策に出かけた。


このスポットについては昨年も書いた。
http://d.hatena.ne.jp/tinpan1973/20061127
家々が見渡せる高台があり、そこを歩きながら、
昨年同様キリンジニュータウン」を聴いた。


イチョウ、カエデ…。赤や黄に染まった木々の道は、
キャロル・キングを聴きながら歩いた。


2000年に発売された英国編集によるベスト
『NATURAL WOMAN : The Very Best of Carole King』。
先日のコンサート以来、頻繁に聴いている。
アルバム『TAPESTRY』収録曲以外の楽曲、
とくに14曲目「It’s Going to Take Some Time」からラストまで
通して聴くことが多い。


ベスト盤やライヴ盤を除くと
TAPESTRY』(1971年)、『LOVE MAKES THE WORLD』(2001年)以外の
アルバムをじっくり聴いたことがなかったのだが、
「It’s Going to Take Some Time」「Music」(『MUSIC』1971年)
「Been to Canaan」(『RYMES & REASONS』1972年)
「Nightingale」(『WRAP AROUND JOY』1974年)
「Crying in the Rain」(『SPEEDING TIME』1983年)
など、名曲が多いと思った。
ソングライターとしての作風の幅の広さを改めて感じた。
メロディ・メーカーとしての能力の高さもわかる気がした。
それから、ジェリー・ゴフィンとのコンビの素晴らしさも。


アルバムごとに、時代ごとに、
アレンジがサウンドが微妙に変化している。
ジャズ/フュージョンっぽいアレンジが施されたり、
80年代のAORっぽいサウンドになったり…。
それは、キャロル・キングならではのクロニクルに思える。


そして、音は変わっても、曲そのもののポテンシャルは、
時代を経ても変わらなくゆるぎないと思った。
もちろん、キャロル・キングといえども人間であるから、
アルバムごとに各曲ごとに多少のばらつきは当然あるけれど…。


変わるもの、変わらないもの。
見事に紅葉した木々を、その葉々を眺めながら、
キャロル・キングの作品群に似ていると思った。


あのイチョウは高台にあるから「UP ON THE ROOF」。
あのカエデはまだ色づかないから「It’s Too Late」.


毎年、木々は色づく。
でも、その色づき方は毎年微妙に違う。
その色彩と、光と風とが織り成す風景、
気温や湿度が織り成す気象を感じに、今年も私は木々の中を歩いた。


紅葉が、日光や気温のつづれおりだとしたら、
キャロル・キングの音楽家としての歴史は、
才能や情熱や努力や経験や忍耐や修正や計算や挫折や倦怠や希望…
のつづれおりなのだろう。