ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

2006年のバカラック、1975年のバカラック。

tinpan19732007-10-16

今日も時折雨が道を濡らす天気だった。
通夜帰りに一杯飲って、駅からの道すがら、
キリンジ「Lullaby」をiPodで聴きながら
口ずさみながら帰って来た。


「Lullaby」(2006年)は、21世紀の「雨にぬれても」だ!
原題「Raindrops Keep Falling on my head」
B.J.トーマス、1969年のNo.1ヒット。
ポール・ニューマンロバート・レッドフォード主演の
アメリカン・ニューシネマの金字塔『明日に向かって撃て』主題歌として
あまりに有名な曲。


バカラック&デイヴィッドの名コンビによるこの曲、
開局直後のJ-WAVEは、都内に急に雨が降り出すと、
この曲をオンエアしてくれたりして、東京ローカルのFM局っぽくって
ヨカッタ。粋だった。


映画に流れるシーンとしては、2004年『スパイダーマン2』で、
主人公が、スパイダーマンと自分との間で内省するシーンで
この曲が使われたのだが、そのシーンのほうが、『明日に向かって撃て』よりも
楽曲の世界にマッチしていたように個人的に思う。


で、この名曲からインスパイアされ生まれたに違いないのが、
シュガー・ベイブ『SONGS』収録の山下達郎・作詞/作曲による
「雨は手のひらにいっぱい」(1975年)。


アルバムこそ一枚出したものの、まだプロのソングライターとして
自信のかけらもなかった達郎さんに、
「あの曲いいよね」と声をかけたのがユーミンらしく、
時代的に『コバルト・アワー』発表直前つまりブレイク直前で
天才少女としての名声を欲しいままにしていたころ、
自らも彼女のアルバムにコーラス参加したりで、
その才能に一目置いていたユーミンにこう言われ少し自信が持てたと
後年達郎氏が語っている(1995年ごろの雑誌『BRIDGE』にて)。


世の中に、雨の歌は多い。
心象を歌にするとしたら、雨は歌になりやすいのだと思う。
それをどれだけ切なく、巧みに描けるか。
楽家としての能力なのだと思う。


はつぴぃえんど(はっぴいえんど)がスタートした曲
「12月の雨の日」(大滝詠一・作曲)も、
同じくはっぴいの鈴木茂氏の快作「氷雨月のスケッチ」も、
細野晴臣氏作のキョートな「相合傘」も、
皆個性があってスバラシイ。


デビュー直後に、雨をどう描き、表現するか
で、音楽家としてのその後が決定されてしまうのではないか?
というようなことを、昨年の梅雨時にそういえば記したような…。


話がいろいろ飛びましたが、
キリンジ「Lullaby」は21世紀の「雨にぬれても」だ!」
が、本日のメイン・メッセージです。


さて、そろそろお月様ミュージックに戻ろうか。