ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

3.“月夜に歌わぬ黄金”

tinpan19732007-10-03

今日は90年代後半のお月様ミュージック。
初めて聴いたのは、99年か00年の夏、
カラオケBOXだったと思う。


いっしょに行った友人が、この曲を歌い出す。
メロディーがいいと思った。
サウンドが洒落ているなと思った。
エレピの音がカッコイイと思った。


「これ、だれ?」
スガシカオ!」
「すがし? かお?」どこまでが名字でどこからが名前だかわからなかった。
「曲は?」
「黄金の月!」


しばらくして、その友人からCDを借りた。
詞もスバラシかった。
♪君の願いとぼくのウソを合わせて
 六月の夜 永遠をちかうキスをしよう
というフレーズなど、とくに。


「ぼくのウソ」「ぼくの未来に光などなくても」…。
自虐ぶりというか、等身大の情けなさというか、
カッコ悪さがカッコ良く描かれていると思った。


「夜空に黄金に月を描こう」と曲中で歌いつつも、エンディングでは
「夜空に光る 黄金の月など無くても」と歌っている。
すべては幻想なんだ。ほどよい虚無感、ニヒリズム


“希望と絶望のブレンド”具合が、
スターバックスモカブレンドみたいだと思った。
月のもつ、太陽へのアンチテーゼ、背徳の匂いもどこかに香る。


月がきれいだな」「美しいな」、
風流や情緒を感じる月夜には、決して口ずさむことはない。
仕事とかに疲れて、自分がイヤになって、酒を飲んで帰って来て、
ホロ酔いで家まで歩いているとき、思わず口をついてでてくる
曲のような気がする。ぼくにとって。