ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

お月様ミュージック1“上り坂の永遠”

tinpan19732007-09-27

9月25日は、中秋の名月だった。
ドイツから帰国した僕は、
西麻布某所で真ん丸い月を眺め、
傍らには鉢植えのススキ。
贔屓にさせていただいているお店で
稲荷寿司をいただき、改めてニッポンの情緒や風情に浸った。


そんなわけで、前回の書き込みにて予告した“Myお月様ミュージック”を、
どうせだから全4回で綴ってみよう(変更の可能性、大いに有ります)。


まず、1回目は、この曲から。
「永遠のフルムーン」、山下達郎『MOONGLOW』収録(1979年)。
まさにブレイク前夜。前作『GO AHEAD!』(1978年)収録の
「BOMBER」が関西のディスコで火が点き話題となり、
翌1980年、達郎氏本人が出演した日立マクセルのCMソングに起用された
シングル「RIDE ON TIME」で全国区に。


活動や環境が、上昇気流を描いていた時期に発売されたアルバムの
ほとんどタイトル・チューンといっていいナンバー。
作詩・吉田美奈子、作曲・山下達郎
サビそしてエンディングでは、お二方ならではのデュエットが聴ける名曲。


このアルバムの一曲目、達郎氏のアカペラで始まる「夜の翼」から
二曲目のこの「永遠のフルムーン」への流れが大好きでよく聴いた。
特に、1984年のこのくらいの時期に。
僕は大学二年生、昼は葉山の店の後かたづけをして、
夜はほとんど連日クルマでドライヴをしつづけた日々。
夜、海沿いを走りながら、あるいは皆でちょっと洒落た店に繰り出しながら、
聴いたものだ。美しすぎる音の流れ。易しすぎぬ言葉の連なり。
サウンドにはエクスクルーシブを感じ、
ヴォーカルはエクストリームを感じた。


♪風にたなびく雲はやがて
 夜の向こうで永遠へと変わる


永遠は、夜の向こうにあるみたいだ。
どこかで、ゴダール勝手にしやがれ』のエンディングを彷彿させる。
あの映画は、死=永遠だったかも知れないけれど、
この楽曲は、ハッピーな永遠を想起させるポジティブなPOP MUSIC。


熱帯夜の暑さは去り、虫の音が小粋なシンフォニーを奏でる候。
涼しさは感じつつもまだ寒さには至らない夜、
ふと見上げると、空には丸い月が…。
満月かな。欠けはじめかな。それとも?
そんな夜にふと口ずさみたくなる曲である。