ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

お堀の近くで。

tinpan19732007-09-13

ティン・パン・アレーを訪ねて〕第14回


文楽を観に、国立劇場へ。
平日の午後4時開演という、
ビジネスマンにとっては厳しい時間だが、
貴重な機会なので仕事を調整した。


文楽人形浄瑠璃)というものを観てみたかった。
あんな大きくて奥行きのある舞台なのかと思った。
人形は美しかった。
語りとパンフだけでは理解できないと思ったので、
イヤホン解説を借りた。効果的だった。
三味線の音。今まであまり好きではなかったけれど、
文楽の一要素として聴くと味わい深かった。


演目(というのだろうか?)は「菅原伝授手習鑑」。
菅原道真公が九州へ流される顛末や近親者への別離を描いた作品だが、
サスペンスとしても楽しめると思った。
伝承から始まっていろんな脚色が加わって作られたにちがいないストーリー。
人間は、日本人は、物語に何を求めているのかが
朧気ながらわかった気がした。
日本のこの手の作品、シェイクスピアに負けていないと思った。
私の中で何かが弾け、何かが始まった気がした。


仕事場を離れるとき例によってバタつき、タクシーで駆けつけた。
三宅坂あたりまで来て何とか間に合うとひと息ついた。
三宅坂、はつぴぃえんど(はっぴいえんど)の2nd『風街ろまん』の
中ジャケットが頭に浮かんだ。
坂を走る都電。靄が晴れ、視界が開ける。日本語ロックの夜明け。
ポップ・ミュージックの新しい時代が始まった。


お堀に沿って歩きたくなり、三宅坂付近でタクシーを降りた。
すぐ先が国立劇場で、その先にはTokyo FMのビル。
Tokyo FMでは、今も松任谷由実さんや山下達郎さんが
日曜日に一時間番組を持っている。
一回2週分収録として、今でも月に2回くらい、あの人たちは、
お堀近くのあのビルにいらしているのだろうな。
もうちょっと先、半蔵門から新宿通りに入って、いくつか道を曲がると、
吉田美奈子さんの『DARK CRYSTAL』『gazer』を発売していた会社。
お堀を半周すると、開業したばかりのホテル・ザ・ペニンシュラ


久々にお堀の近くに来て、
ここに記すべきティン・パン・アレー
遥かな江戸と現在進行形のTokyoを感じる。
何かの終わりと始まりも…。


文楽を観終わり、タクシーで六本木ミッドタウンへ向かう。
平河町付近でTVカメラがある人物に群がっているのが見た。
アベさんが辞任した日、永田町も動いている。