ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

『24』の楽しみ方。

tinpan19732007-09-10

土曜から日曜への12時間睡眠は、
このためだったのかも知れない。


『24 シーズン6』1〜3が、金曜日からレンタル開始された。
金曜夜に近所のショップに寄ったところ、予想通り全て貸出中。
ひょっとしたらと思い、日曜夜遅くに再度行ってみたら、
ちょうどいいタイミングで返却があり1〜3を借りることができた。


睡眠十分、眠くなるまで観ようと、ほとんど日付が変わるころから観始めて、
2の1本目まで見終わった。
(以下ちょっとネタバレあり)
中国から戻ってきたジャックがテロリストの人質になり、
そこでハードな拷問を受けたばかりなのにどうしてすぐに走ったりできるんだ
とか、突っ込みどころは相変わらずなのだが、
今シーズンは、前シーズンより面白い気がする。
前シーズンは大統領が悪役だったり、それまで『24』を支えて来た登場人物が
ことごとく死んでしまったりで、ネガティブすぎて辛かった。


ストーリーはもちろん、
映像から「同時代のアメリカ」を感じているんだと思う。
「パパは何でも知っている」や「うちのママは世界一」といったアメリカン・ホームドラマから、
大型冷蔵庫やテレビ、自動車のある生活を
ある種の憧れを持って見つめた60年代の人びととは異なるけれど、
相変わらず広い戸建住宅、家の中の家具やインテリア…。
駅やショッピング・モールの風景、そこを行く人びとの服装。
こういった映像を00年代半ばのドキュメントとして見つめている自分がいる。


『24』を観ると、「BOMBER」を聴きたくなる。
山下達郎さんが1980年のシングル「RIDE ON TIME」でブレイクする前、
1979年にプチ・ブレイクしたといわれる作品。
当初シングル「Let’s Dance Baby」のB面だったが、
大阪のディスコでこの「BOMBER」が話題となり、大阪ではA・B面が逆となり
スマッシュ・ヒットを記録した。1978年のアルバム『GO AHEAD!』にも収録。

マシンガンの音で始まり、
上原裕氏ドラムと田中章弘氏ベースが紡ぐ16ビート・ファンク。
(変形16ビートらしいですね)
聴こえてくるギター・ソロは椎名和夫氏。
吉田美奈子さんの詩は、” スリルとサスペンダー”路線。
“カネがあれば太陽さえ つかむことができる”
都市のダークさとディープさを、鮮やかに描いた快作。
こういうサウンド、こういうリリック。
オリジナリティとクリエイティビティがあふれていたと思う。1978年時点で。


この、コテコテの絡みつくようなビートが大阪でウケたというのは、
最近年に2回は大阪を訪れるようになって、
皮膚感覚でわかるようになった気がする。
メリケン粉」、「アメリカン」をネイティブに近い発音で「メリケン」という言葉に
してしまう柔軟な感性が下地にあると思うのだ。


あとは、同じ1978年。
原田真二さんの(たぶん)4枚目のシングル「タイム・トラベル」。
この曲の中に” FBIもタップダンス”というフレーズがあって、
マシンガンの音がSEとしてパーカッシヴに入ってくる。
この部分を急に思い出して、聴きたくなって、
家のCD棚を見渡したら松本隆氏『風街図鑑』に収録されていたのを発見して、
よく朝、出かける前に身支度をしながら聴いたものだ。
あれは、『24』のシーズン1とか2のころだったろうか。


あとは、シーズン4のエンディングかな。
あれはゼッタイにライ・クーダーの世界だ。ボクにとって。


このように次から次へと展開するストーリーにハラハラ・ドキドキしながら、
いろんな音楽が走馬灯のように脳内を駆け巡ってくるんです。
以上、ボクの『24』の楽しみ方。