ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

夏は、タイム・マシーン。

tinpan19732007-07-26

高中正義である。
「Blue Lagoon」である。
1980年、私の高校2年生の夏を象徴する楽曲。


ロディアスである。
ドラマティックである。
多くの人の琴線を揺さぶるにちがいないフレーズ。


この1980年の秋から、私は音楽に関して
リクツっぽくなっていくので、
この「Blue Lagoon」と竹内まりや「二人のバカンス」あたりが、
イノセントに楽しんだ最後の楽曲といえるかも知れない。
梅雨明けしたと思われる今日、朝の電車の中で聴いてきた。


“夏”“恋”“海”をストレートに感じさせるのがいい。
それでいて、この頃はまだ確かに存在していたアイドル歌手の
季節をテーマにしたノー天気ソングとは、明らかに異なるクオリティ。


「Blue Lagoon」が収録されたアルバム『Jolly Jive』なんて、
擦り切れるほど聴いた。
今、また無性に聴きたくなった。
アルバム最後はたしか「珊瑚礁の妖精」という曲で、
坂本龍一氏の幻想的なシンセ・プレイが堪能できる曲だったと思う。


林立夫氏や高橋ユキヒロ氏がドラムを叩き、
ペッカーや高橋ゲタ夫氏がたしかベースで、
ギターは高中氏のほかには椎名和夫氏が参加していたような気がする。
キー・ボートは教授のほかに小林泉美さんがクレジットされていたような…。
(高中氏のツアー・メンバーとちょっとゴチャまぜになっているかも)


ちゃんと確認したくなった。amazonに注文してみるか。
となると同時期の『T-Wave』も、ソロ一作目『セイシェルズ』も、
やはり名曲「Ready To Fly」収録の二作目『Takanaka』も、
三枚目(たしか)の『ブラジリアン・スカイズ』も、
まとめて注文しようと思ってしまう。


レコンキスタ。名誉回復。
80年代の半ばから高中作品は全く聴かなくなった。
また「いいな」と思うようになったのは、
21世紀になって初めての夏の日曜日、休日出勤して
加藤和彦氏がDJをされていたJ-WAVEの番組を聴いていたら、
そこでアコースティック・バージョンの「Blue Lagoon」が流れて…。


それが、ボサ・ノヴァっぽくて、
夏の終わり、夏の夕暮れに、よく合っていて、切なくって…。


夏って、季節そのものがタイム・マシーンのような気がする。
この暑さが、ムッとする湿度が、強い陽射しが、
さまざまな“あの頃”“その頃”に連れていってくれる。


なつかしい、とはちがうんだよな。
ノスタルジーとはまったく別のもの。
この気候そのものに付随する感情があって、
(ひょっとしたら太古の昔からのDNAの記憶かもしれない)
それが呼び覚まされるカンジ。


うまく言えないけれど、ここ数年、私は、
夏のほうが秋より、切ない季節になった。