ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ダルトニアンとエイジング。

tinpan19732007-07-19

ピエール・バルー氏が9年ぶりにアルバムを発表するらしい。
昨日(7/18)の朝日新聞・夕刊で知った。


映画『男と女』の主題歌で有名なフランスの歌手・詩人。
41年続くマイナー・レーベル「サラヴァ」主宰者。
60年代にブラジルに渡り、ボサノヴァをフランスに持ち込んだ人。


「私は散歩者。世界を漂い、歌で物語を紡ぐ」。
「やりたいことは一貫している。世界の証言者でいたいだけ」。
「映画監督になりたかった。14歳のとき、紙とペンとギターを持って旅に出た」。
紙面に掲載されたコメントがかっこいい。
フランスの知とエスプリにあふれている気がする。


アルバム・タイトルは『ダルトニアン』。
色覚異常者という意味らしい。これは意味深だ。


「記憶」という曲は、
愛し合う男女でも、同じ経験で記憶がくい違う悲喜劇を描いているらしい。
(過去の映像を異なった色合でとらえるのだろう。わかる気がする。
 記憶は、人間が過去を編集して出来上がると思うから…)


「クレプスキュール」では、夏至の夕暮れが美しく描かれているそうだ。
(きっと現実以上に美しく描くのだろう。
 それも、きっと、ひとつの色覚異常
クレプスキュール=黄昏
夏至=SOLSTICE(英語だけど…)
ダメだ。僕の大好きな言葉たち。
楽曲を聴く前から、詩を読む前から、すでにジ〜ンが始まっている。


それにしても、73歳にして現役。
いいな。先日記したけれど、私より10歳〜15歳年上の
ティン・パン・アレー系音楽家たちの
カウントダウンが静かに始まっているように
密かに感じている昨今だが、「まだまだ、だいじょうぶ」
と思い直してみたくなった。


やはり、昨日の朝刊で知った第137回直木賞受賞者、
松井今朝子さんは53歳だそうだ。


僕も年齢に負けたくない。
いや、それを理由にしたくない。
グリニッジの時間の流れと上手に向き合いたい。