ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ター坊とタツローの、ターナー。

tinpan19732007-06-25

ようやく梅雨らしく雨が降っていた金曜日。
僕は仕事で相手からの返事を待っていた。


♪退屈な金曜日〜
思わず、こんなフレーズが口をつく。
山下達郎ターナーの汽罐車」
1991年のアルバム『ARTISAN』収録。


90年代前半が、僕にとって音楽的に最も“遠い過去”のような気がする。
iTunesの容量の問題で収録曲が限られていて、
最近ナントカ問題をクリアする方法を見つけて、
少しずつ曲を増やしているのだが、最近リッピングしているほとんどが
90年代前半の作品だ。


この「ターナーの汽罐車」、改めて詞を追ってみたのだが、
「雨」という言葉は決して出てこない。
なのに、六月のこの時期に思い出すというのは、
発売が1991年の梅雨時だったからか?
それとも、曲中に登場してくるウィリアム・ターナーの絵「雨、蒸気、速度」の印象か?


久々に聴いてみて、いい曲だなと思った。
間奏の難波弘之氏の耽美的なピアノもいい。
山下達郎氏の主要キーボーディストとしては、他に佐藤博氏がいるが、
達郎氏が難波氏と佐藤氏のプレイに求めるものが、
最近何となく理解できるようになった気がする。
難波氏=英国・プログレ・オーセンティックだとしたら、
佐藤氏=米国・R&B・アヴァンギャルドとでも表現すべきか。
だから、「LOVE SPACE」や「FUTARI」のキーボード・プレイは、
やっぱり難波氏でなく佐藤氏なんだと思う。


ところで、この「ターナーの汽罐車」は1991年の作品。
一年前、1990年発売の大貫妙子さんのアルバム名は「NEW MOON」。
このタイトルは、ターナーの絵からインスパイアされたと
当時、大貫さんは語っている。


元シュガー・ベイヴの山下さん、大貫さんの、
「曲名やアルバム名になっているターナーって?」
90年代前半、いろいろと調べたりした。それが今思うと貴重で楽しかった。


松任谷由実さんのヒプノシスがデザインした
『昨晩お会いしましょう』アルバム・ジャケットや、
吉田美奈子さんが初期の達郎作品の詩で描いた世界は、
ルネ・マグリットを彷彿させるものだった。
(近いうち、この辺りの話をしよう)


ターナーマグリット
僕は、学校でなく、音楽から、美術を教わった。