ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

21世紀のカラカラ浴場。

tinpan19732007-06-20

21世紀のニッポンでは、
大型入浴施設が流行したらしい。


郊外には、露天風呂や多種多様のお風呂を揃え
家族連れで賑わう「スーパー銭湯」が、
渋谷や六本木など繁華街には、
地下深くから温泉を吸い上げ「天然温泉」を謳い文句にする
流行敏感層をターゲットにした施設が、
百花繚乱の様相を見せていた。


70年代前半、オイル・ショック直前に、
全国に存在したボーリング場の数と、
2007年現在のこの手の入浴施設の数は、いい勝負なのではないだろうか?


ブーム。
経済は、“ほどほど”を許さない。
ギリギリまで数を増やし、とことん先を競い、
右上がりのゲームを繰り広げる。
そして、ある日、次の鉱脈を見い出すと、
イヤおいしい汁を吸い尽くすと、
あっという間に波は引く。
冷酷なまでの引き際、すべてを“祭のあと”にしてしまう。


件のニュースを人づてに聞いて、
古代ローマの“カラカラ浴場”を想った。
経済の論理に突き動かされた企業の浅はかな行動が…
と短絡したけれど、事情はもっと複雑のようだ。
死者が出たと知ったとき、いたたまれなくなった。


サントリン島、ミノアの宴、フレスコの壁画…。
遥かなる過去へのロマンティシズムと憧憬をうたった
大貫妙子「アヴァンチュリエール」(1981年『Aventure』収録)
でも聴くとするか。


そういえば、カラカラ浴場は、
ローマ歌劇場のすぐ近くにあったような。
オペラ「トスカ」を観ました。そういえば。5〜6年前に。
事件のあった松涛からそう遠くない神南のNHKホールで。