ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

ポール・ボキューズで食べ、ジャック・タチを思う。

tinpan19732007-06-04

乃木坂にできた国立新美術館にある
レストラン(ブラッスリー
ポール・ボキューズ」でランチを食べた。


2時間だ、3時間待ちだと
待ち時間の長さが話題になっていたようで、
そろそろ落ち着くころと思いつつ
まだ行列がスゴイならあきらめようと向かった日曜日。
11時の開店時間ごろ店に着いたのだが、
幸いなことに1時間ちょっとで席に案内してもらうことができた。


料理は、美味だった。
今まで前評判倒れの例にもたくさん遭遇してきたけれど、
想像をかなり上回った。
前菜を4つの選択肢からチョイス、メインを3つからチョイス、
そしてデザートと飲物が付くというコース・メニューのみだが、
これで2,500円なら大満足である。
もっとも白ワインのボトルと、赤ワイン1/2ボトルを空け、
オプションもいろいろ付けたので結果的に二人で一万円をだいぶ超えたが、
それでも私の舌と胃袋はこの上ない幸福を感じた。


ただ、日本にフレンチは、どうなんだろう? 根付くのだろうか?
銀座にある三笠会館やレカンは相応の歴史もあり定着したと思うが、
80年代半ばにそれこそ「ブラッスリー」や「ビストロ」という言葉とともに
入ってきたお店は大方が今はもう存在しないように思う。
最近だと90年代半ば、恵比寿ガーデン・プレイスにOPENした
「タイユヴァン」、結局店をたたんでしまったはず。


イタリア料理に比べて、フランス料理は、
日本人の食生活に入り込むハードルが高いのではないだろうか?


食べているとき、先に記したように幸福を感じていたのだが、
ふと思い浮かべたのが、ジャック・タチ


ズラ〜リと並んだテーブル。テーブル間の間は狭く、
黒い髪に黒い瞳の人間が、
同じような会話をして、同じような料理を食べている。
行列までできている。
俯瞰して見ると、不気味な均質さ・画一さが漂っているのではないか。
ちょうどジャック・タチの映画のように。
『ぼくの叔父さん』、ムッシュ・ユロのユニークさが目立つが、
工業社会と大量生産社会をアイロニカルかつグラフィカルに描いたシーンが
そこかしこに登場して、私はそちらのほうが印象に残っている。
(この画像、ポール・ボキューズの外観なんですが、
 ジャック・タチっぽいと思いませんか?)


さてと、あれから24時間。そろそろ12時だ。
大貫妙子「ぼくの叔父さん」(1987年『A Slice Of Life』収録)でも
聴きながら、ランチを食べに行こう。
今日は、カロリー低めの和食がいいかな。