ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

五月のカオス。

tinpan19732007-05-30

21世紀になって初めての
5月の出来事だったと思う。


ひょっとしたら4月30日かも知れない。
「4.30」か「5.2」という数字を、
録画したVHSテープのシールに記した覚えがある。


「地雷ゼロ」を提唱する特別番組がTBSのゴールデンで放送された。
そのテーマソング「ZERO LANDMINE」を坂本龍一氏が作曲。
多くのアーティストがこのレコーディングに参加した。
ちょっと列挙してみると(敬称略)
高橋幸宏細野晴臣大貫妙子
UADreams Come True佐野元春
デビット・シルヴィアン、シンディ・ローパー…。


番組中で、参加アーティストが一堂に会しての演奏・歌唱が行われ、
とにかくこれが楽しみで、ビデオ録画した。
カッコ良かった。メイキング映像も流れ、
教授と細野さんがスタジオで会ったシーンなど、
両巨匠の胸の内を思い切り深読みして楽しんだものだ。


久々に“いい坂本龍一が帰って来た”。
この曲を聴いた後、私は友人に、こんなEメールを送ったと思う。


私には“いい坂本龍一”と“わるい坂本龍一”がいる。
“いい坂本龍一”は、この曲や「戦メリ」から『Beauty』『Heart Beat』
あたりまでの、“エスニックなテイストを踏まえつつPOP”な作品。
“わるい坂本龍一”は、この直前90年代末の「Energy Flow」のような
手クセで作ったような曲(ああいう曲なら何百曲も作れると思う)と、
『B-2ユニット』のような“あまりにアヴァンギャルド”な作品。
(“好き”と“苦手”と表現したほうがいいですね)


ちなみに“いい村上龍”と“わるい村上龍”もいます。
“いい村上龍”…小説「限りなく透明に近いブルー
「愛と幻想のファシズム」「五分後の世界」など。
“わるい村上龍”…「トパーズ」、監督した映画作品、
80年代の終わりに放送していたテレビ番組「Ryu’s Bar」。


この「ZERO LANDMINE」、
アフリカにアジアに、アメリカ、イギリス、日本、
いろんな要素が盛り込まれて、
説教臭くなくPOPに感じられホントに好きだった。
ジャケットもカッコ良くて、
坂本龍一はこうあるべき」と思った。


発売直後、カラオケでもよく歌わせていただいた。
ロシア民謡みたい」と誰かが言った。
そんなメロディー・ラインだと思った。たしかに。


曇り空の今日、そろそろ五月も終わり。
久々にこの曲が聴きたくなってCD棚から出した。
朝聴いている時間がなかったのでそのまま会社に持って来て、
いまリッピング中。帰りに聴くのが楽しみ。


いや、日が暮れる前に、席を離れて聴こうか。
五月の曇り空がなぜか似合う楽曲だと思う。
チャリティーやら、放送するテレビ局や協賛企業の思惑やら、
参加アーティストの胸の内やら、
当時久々の3ショット(YMO)を目撃したファン心理やら、
いろんな思いが渦巻いているから、裏に。