ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

サザエさんか。BEYONDか。

tinpan19732007-05-29

日曜日、目黒Blues Alleyの
吉田美奈子&河合代介Liveへ。


3月のSTB139でのザ・バンドLiveは
チケットがありながら急用で行けなかった。
今回は当初行けなかったが何とか時間ができたため、
当日券で駆けつけた。


目黒で、横浜で、池上で…。
このデュオLiveを数回拝聴しているが、
この編成でこれまで演奏していない曲
ジャズ・ワルツ調アレンジの「GRACES」や
「CoCo」が聴けてうれしかった。


週末のLiveだったせいか、「星の粉雪」「週末」といった
歌詩の中に「週末」という言葉が登場してくる曲が一際心に響いた。
極めつけは本編最後に演奏した「BEYOND」。


現時点での最新アルバム『Spangles』収録。
このLiveで共演している河合代介氏の作曲。
美奈子さんの詩は、休日の夜のドライブの情景を描く。
(実際に、河合さんや美奈子さんたちが、ツイン・リンクもてぎに
 カー・レースを観戦に行ったときの映像がもとになっているらしい)


「家族」「温かな食事」という歌詩に、インパクトを感じる。


明かりの灯る窓辺に映る 人影は誰を愛しているの?
(「Back in Town」〜1981年『Monsters in Town』収録〜)
街の灯が輝き増す度に 魅せられるほどの物語がある
(「Christmas Tree」〜1986年『Bells』収録〜)
これまでも明かりの向こうに垣間見える人びとの暮らしを、
優しい視線で見つめた詩を描いてきたけれど、
その優しさがより一層深く大きくなった印象を受ける。


休日の夜、上りの高速道路、混雑したサービス・エリア、
レストランの家族連れ、眠そうな子ども…。
ひと休みを終えて、再び走り出す。
過ぎていく昨日は、通り過ぎる街路樹に似ている。
一定間隔で流れていくネガ・フィルムのようであり
木々のシルエットのような輪郭をしている。
切ない。けれど、振り返らない。
ひたすら前を向いて走って行くだけ…。


20代のころ、休日のたびに張り切ってドライブをしたものだ。
帰路、渋滞や疲労のせいもあるのか、
なぜか無性に切なく、もの哀しくなった。
さあ、新しい一週間。明日からまたがんばるぞ
とも、どこかで思いつつ…。


サザエさん症候群」とも称される、
休日夜のメロウネスを鮮やかに描いた名曲だと、
しみじみ感じ入った日曜日の夜だった。