ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

KIRINJIの私的パブリック・イメージ。

tinpan19732007-05-14

今年は順調に五月晴れがあってうれしい。
一年でいちばん好きな月は、五月。
一年でいちばん好きな気候は、五月晴れ。
そんな五月に合う音楽を、
アルバム単位で、ここ数日取り上げてみたい。


キリンジ、1998年の1st『ペイパー ドライヴァーズ ミュージック』。
まずは、このアルバムから。


キリンジを聴くようになったのは、約1年前。
amed-recさんたちのブログを拝見してから。
ほぼすべてのアルバムをiPodに吸い込んだ。
それぞれのアルバムにそれぞれの良さがあるけれど、
最も好きな1枚と言われれば、この1stアルバムを挙げる。


「デビュー作に、すべてがある」ではないが、
キリンジの音楽の要素が凝縮されている気がする。
そして、POP・メロディアス・開放性に富んでいる。
その辺りが、五月のこの空気にマッチする理由だと思う。


「双子座グラフィティ」「風を撃て」といった上質なPOPチューンで幕を開け、
ロディアスな曲、ミステリアスな詞、グローリアスな編曲が施された名曲
「雨を見くびるな」(90年代を代表する楽曲と言えるのではないだろうか?)。
この曲たちには、このアルバムより先に聴いたベスト盤でKOされてしまった。


加えて「ニュータウン」。
昨年11月初めて観たLiveで聴いて、なぜか印象深い曲。
日中に聴けるポップ・ミュージックは、夜に聴くそれと比べて実は数少ないと
思うのだが、この曲はスバラシイ。晴れた日の10〜14時、
郊外をドライヴしたり、ウォーキングするときにベスト・マッチ。
私のiPodから流れた回数の最も多いキリンジの曲かも知れない。


そして「五月病」。
これ、実は詞をじっくり追ってみたいのだが、
タイトルからして五月に合う。
大滝詠一さんの1stに似たような音像の曲があった気がする。


キリンジから受ける私のイメージ、それは近郊の“公立高校の音楽”。
このブログのタイトルにも使わせていただいている
ティン・パン・アレーの音楽は、“私立高校の音楽”だ。
実際、立教や慶応や青学に中高から通うお坊ちゃんやお嬢さんたちから
産み出された音楽だと思う。
90年代初頭の“渋谷系”と呼ばれたフリッパーズ・ギターオリジナル・ラヴからも
“私立高校の音楽”を感じた。


90年代の後半になってようやく、
ティン・パン・アレーの音楽から感じられた品や質が、
私立の一部の限られた人たちしか作れなかったものから、
公立の感受性の鋭い人たちでも作り出せるようになったような
そんな気がする。
(実際にキリンジのお二人が、私立か公立かはわかりません。私の勝手な印象です)


春。五月。新学期が始まって一ヶ月経って、
音楽に詳しいヤツと仲良くなって。
そいつはものすごくマニアックでセンス良くて、
音楽についてあれこれ話すのがとにかく楽しくて。
いろんな事を教わって、いろんな音を味わって…。
そんな気持ちになるんだ。キリンジを聴くと。公立高校出身の僕は。