ティン・パン・アレーのSIDEWAYS

季節が流れていく。音楽が聴こえてくる。

七年の空白。行間の余白。

tinpan19732007-03-26

ご無沙汰しました。
プライベートな事情ゆえ理由はここでは記しません。
久々ということで、今日はこのアルバムのお話でも。


山下達郎『COZY』(1998年作品)。
“セブン・イヤーズ・チョビット”。
このようなキャッチ・コピーで、
発売時広告展開されたと記憶している。
(当時話題だった映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」の
 タイトルを引用した、真木準さんお得意の手法)


前作『ARTISAN』から7年ぶりのオリジナル・アルバムだった。
全15曲、トータル・アルバムというよりオムニバス・アルバムという趣き。
この密度を二つに割って、3年半でアルバム一枚出せたのでは…
と当時思ったものだ。


理想の音を求めてのスタジオ放浪。
レコード会社のスタッフ変更。
後年のインタビューで語られた内容によると、
いろんな事情があったらしいが…。


“作詞・松本隆”。
私にとってこのアルバムの最大の特徴は、これだ。
MOOMレーベルに移籍した1983年『MELODIES』以降、
自作詞がほとんどであったが、90年代半ば〜後半のこの時期、
松本隆氏とのコラボレーションが実現した。
「氷のマニキュア」「夏のコラージュ」「いつか晴れた日に」…。
なにげなくウマイ。さりげなくスゴイ。
余裕が、いや行間の余白がサスガだと思う。


少年性、失われた過去への想い…。
達郎作品に通底するテーマが松本氏の言葉で鋭く巧みに描かれる。
詞を第三者に委ねることで、
コンポーザー、アレンジャー、そしてシンガーとしての
達郎氏のポテンシャルが、のびのびと発揮されているような印象。


やはり、私は、詞を第三者に委ねた達郎作品が好きみたいだ。
なかでも、今(というか十年来の想い)聴いてみたいのが、
●作詩=吉田美奈子(当然コーラスも)で
●「七つの海」「女神」という言葉が使われていて
●「SPARKLE」(山下達郎『FOR YOU』収録:1982年)
 「GRACES」(吉田美奈子『KEY』収録:1996年)のような楽曲
 (両曲とも「七つの海」「女神」という言葉が登場する)